人財化していくためには継続的な人材育成(教育)が求められるのは言うまでもないが、実は新入社員にとって、今のこの時期がもっとも大切である。5月病である。このGW(大型連休)を同級生と過ごした新入社員も多いはず。同級生と話すうちに、自分の会社と同級生の会社とを比較していたに違いない。そして隣の芝生は青く見えるもの。「あいつの会社はいいよな!」そう思ったかもしれない。比較する基準はいろいろとある。給与や休暇といったいわゆる目に見える労働条件だけではない。仕事へのやり甲斐や上司・先輩社員といった人間関係などのストレス度合いもあるだろう。会社を辞めたい症候群を最初に発症するのが入社3日目。その次の時期がこの5月のGW後だ。5月病対策には、メンタルヘルスケアが欠かせない。
■面談(心の検診)でメンタルヘルスケア!
まずはGW後に、速やかに人事部に実施してもらいたい施策がある。それは新入社員に対しての入社1ヵ月後面談だ。たとえば新入社員はビジネスという世界においては、4月生まれの赤ちゃんのようなもの。「オギャー!」と赤ちゃんが産まれると、その1ヵ月後には検診をするわけだから、新入社員にも同じように入社1ヵ月後面談を実施してほしいものだ。この時期にメンタルヘルスケアへの取組みをすることで、新入社員の離職予防にも効果が期待できるであろう。
■新入社員の声を聴く!
新入社員と面談をして、彼らのいったい何を聴いてあげるといいのか?不安に思っている人事担当者も多い。しかし、何も心配しなくても大丈夫だ。決まった質問事項などは特にないので、世間話でも何でもいい。たとえば、「仕事は慣れた?」「上司・先輩社員とは上手くいっているの?」「仕事やプライベートで何か困っていることはない?」などでもよいだろう。面談をする目的は、新入社員の心のガス抜きであるので、新入社員が話したいことをあなたの耳と目と心でそっと聴いてあげることでよいのである。まさに傾聴そのものである。特別なテクニックなどは必要ないが、次のポイントに留意することで効果的な傾聴になる。
・オウム返し
→新入社員が話した言葉(フレーズやキーワードなど)を復唱し繰り返す。
・ミラーリング
→新入社員が話している際の動作などを真似る。
とにかく、新入社員の話を真摯に聴いてあげることが重要だ。そして、新入社員が抱えている「不安」「負担」が少しでも軽くなるのであれば、その面談は大成功である。
(良い事例)
真摯に新入社員の話を聴く→自分(新入社員自身)が大切にされていると気づく→気持ちがリフレッシュする→明日へのモチベーションが高まる
(悪い事例)
新入社員の話に反論する→自分(新入社員自身)が大切にされていないと気づく→ますます気持ちが悶々とする→会社へのストレスが高まる
モチベーションが高まる面談をぜひ心がけてほしい。
e-人事株式会社 代表取締役・社会保険労務士 牧 伸英