グローバル社会に対応できる人材育成のスピードを加速させる狙い
海外で活躍ができる人材は、企業規模を問わず需要が高まっており、グローバル人材の育成に注力する企業も多い。今回、新卒採用制度においてグローバル人材に対する新たな採用基準を導入するのは、バイオ医薬品企業のリーディングカンパニーとして躍進を続ける武田薬品だ。同社は、日本に本社を置き、世界約80の国と地域で事業を展開。世界各地において日本人を含む多くの従業員があらゆる職種で活躍しており、これまでもグローバルにビジネスの成長を推進する人材の育成に力を入れてきた。今回導入する採用基準には、「グローバル人材として活躍する資質」が新たな評価項目として設けられた。入社時より基礎レベルの英語力を持ち、さらにビジネスレベルへのスキルアップができる人物を対象として定め、グローバルな環境下でコミュニケーションスキルのある次世代リーダーの輩出を加速させることを目的としている。2020年度入社の一部選考から導入を開始し、2021年度入社より本格運用を始める。
これまで同社では、MR職(医薬情報担当者)の適性を中心軸として新卒採用を行い、業務を通じてそのポテンシャルを見極めた後、グローバル人材の育成を行っていた。世界的なグローバル化の加速に伴い、人材育成のスピードも加速する必要性を感じ、今回の採用基準の導入を決めたと言う。また、入社後には製薬ビジネスの基礎を学んだ後、海外勤務を含め、人材育成の初期段階でさまざまな職務を経験する機会を設定していく予定だ。
グローバル社会化が急速に進む中、会社のさらなる発展と成長にはボーダレスな経営戦略が求められる。日本企業が、海外に向けた市場拡大や飛躍的な成長を目指すためには、海外市場を相手に活躍できるグローバル人材が必要不可欠と言える。今後、さまざまな企業において、グローバル人材の育成のみならず、採用の段階から発掘するといった取り組みも必要になるだろう。