初めてお仕事をさせていただくクライアント企業には、まずマネジャーの皆様全員と面談をさせていただくことがあります。組織表を見ながら、「では、〇〇さんの部下について聞かせて下さい。まず、係長の▲▲さんはいかがですか?」とメンバーの状況を一人一人聞いてみます。
このやり取りの際に、「▲▲係長は、段取りがすごくうまいんです。チームの1ヶ月の行動予定のとりまとめや、会議の準備なども彼が率先してやってくれます。ただ、ちょっと几帳面すぎるところがあって、若手に厳しすぎるんですよ。もう少し、相手のことを考えたコミュニケーションスキルを身につけないといけません」と、一人一人の特徴をスラスラ言える人がいます。
 逆に、「▲▲係長ですか・・・。まあ、しっかりやってくれてます。ただ、まだ1年しか付き合い無いので・・・」となかなか特徴を言えない人も少なくありません。

 この違いは何か?それは、部下一人一人の現状を正確に把握しようと日々努力しているかどうかの違いです。
 部下の現状が正確に把握できていれば、最適な指示やフォローが可能となります。もちろん、状況に応じた育成を行うことができ、効果的に成長をさせることが可能です。一方で、現状が正確に把握できていないと、メンバーが忙しいときに負荷のかかる仕事を指示してしまったり、逆に時間があるときに放任するなどということも考えられます。
 
 私が様々な企業様でお会いしてきた「優秀なマネジャー」と言われる方々の共通点が、「部下の現状を正確に把握する」ことに注力していることなのです。
 そして、部下の現状を把握するのは、それほど難しいことではありません。

①日報を書いてもらい、毎日コメントする

部下の現状を知るために最も有効なのは、「日報」です。しかし、自分の仕事が忙しいために、部下の日報を見なくなる上司が少なくありません。各社で成果を出しているマネジャーは、必ず日報に毎日コメントを書いています。なぜなら、コメントを書くためには内容を読まざるを得ないからです。内容を読み、状況を把握し、分からない点は直接部下に質問する。これが基本です。

②中間報告をクセにさせる

部下に報告を徹底させるのも、成果を出しているマネジャーの特徴です。ただ、ほとんどのマネジャーは部下に報告はさせているはずです。部下の現状把握を徹底しているマネジャーは、「中間報告」を求めます。つまり、仕事が終了していなくても「現在~まで進んでいます」「今日の商談で、~まで話が出来ました。次回受注になりそうです」等。終了した時点での報告だけでは、適切な指示や育成が十分にできません。

③自分の方から、部下の席に出向く

部下が自分の席に来るのを待っているマネジャーは、部下の現状をしっかり把握することはできません。部下が「報告しよう」と考えたことだけでは、現状把握ができない可能性があるのです。部下の席に出向き、自分から「~はどうなった?」と聞くことで、リアルに情報をキャッチできますし、部下も「そこまで、報告する必要があったのか」と学ぶことになります。また、席の上においてある提案書や見積り、PC画面に映っているやりかけの仕事などが目に入り、「忙しそう」「時間がありそう」「仕事が回っていない」など現状が分かることもあります。

 強いチームを作る上司は、状況に合わせて適切な手を打てる人です。そのためには、部下一人一人の現状を正確に把握する力が求められるのです。
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