まずは、チャレンジシートと呼ばれるシートに、メンバーが年間(もしくは半年)を通じて達成すべき目標を掲げ、それに対してどのような行動を取るかを記入します。そのシートを元に、上司とメンバーで話し合いを行うことが多いようです。
特に営業部門の上司が、「数字目標は最初から決まっている。チャレンジシートに書くまでもない。だから、面談を行ったところであまり意味はない」という発言をするのを何度か耳にしたことがあります。私も、営業マネジャーでしたから言っている意味は分かりますし、私も実際にそう思ったことがあります。しかし、それは期初の人事面談の効果を十分に分かっていない人のコメントです。なぜなら、期初の人事面談は「目標を決める」だけではなく、「目標を頭に焼き付ける」ことが目的だからです。
既に期の目標が「固定」で決まっていたとして、メンバーは「よし、目標達成に向けてがんばるぞ!」と自動的にやる気を出すでしょうか?もちろん、出す人もいます。しかし、「去年よりも20%も目標が高いなんて・・・。達成は難しいだろうな」と最初から弱気になっている人もいるはずです。
期初の人事面談では、「目標達成のために、何ができるか」を上司と部下でとことん考える時間です。「ああでもない、こうでもない」と一緒に頭をひねり、色々なアイデアを出し合います。その話し合い自体が重要なのです。「この目標は難しい・・・」と感じていたメンバーも、上司と一緒に目標達成に向けたアイデアを出している際は、目標のことを真剣に考えています。真剣に考えれば、「これが、私の目標だ」と徐々に認識し出します。これが重要なのです。
人間は、ゴール(目標)と現在のギャップを埋める行動を取ろうとする習性があるそうです。自分の目標が常に頭にある状態だと、「何をしよう」と考えますが、頭に焼き付かないと何も考えず、行動が起きず、達成できません。
まずは、目標についてとことん話し合い、頭に焼き付けてください。しかし、最初の面談だけでは、まだまだ「本気」にはならないメンバーもいます。「目標は認識したけど、難しいよな・・・」と。そのようなメンバーには、繰り返し面談を行う必要があります。「目標について、今どこまで行っている?」「うまくいっている点は?」「どうすれば、もっと目標に近づける?」と逐一考えていれば、徐々に「やるしかないよな・・・」「やるか」「やってやる!」とだんだん目標に対して本気度が増してくるものです。
人事面談をうまく活用すれば、目標を頭に焼き付け、目標に本気になってもらえる貴重な機会になります。一方で、「形式的に」行うだけですと、目標に意識を向けないままに、年間を過ごし、「未達」メンバーを増やしてしまう恐れがあります。
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