ただ、これは私も経験があります。「今月は成果が出ていないから、早く帰ったら何か言われるのではないか・・・」といった恐怖があったことは間違いありません。では、誰の目が最も気になるか?それは、もちろん上司です。
勤怠管理の徹底や、サービズ残業をなくす努力をしている企業は多いですが、まだまだ「遅くまで働く社員はがんばっている」「休日出勤までして努力している」という価値観が残っている職場は多いのです。
遅くまで残ってみんなで汗をかく。その後、軽く一杯飲んで「今日もがんばったなー」と称えあう。私自身もこのような経験をしてきましたし、それはむしろ良い思い出になっているものもあります。このような経験を積んでくると、「夜遅くまで残って、みんなでがんばってこそ良いチームだ」と思ってしまう節があります。
もちろん、集中して仕事をしているにも関わらず、結果的に夜遅くなってしまうことはあります。
問題なのは、「本当は残る必要がないのに、なんとなく夜遅くになっている」ケースです。
「なんとなく」残っていると、少しの仕事をダラダラと時間を掛けてやることがクセになります。
このクセは、昼間の仕事にも影響します。
ダラダラとメールを見る、ダラダラと提案書を作る・・・。
結果的に、効率の悪い人材を作ってしまうのです。
今の時代はスピードがモノを言います。お客様と午後に打ち合わせをして、次の日の朝までに提案書を提出するなどということが当たり前のように生じます。
ダラダラと残るクセがある人は、仕事のスピードが遅いので、そのようなことにうまく対応できません。納期遅れが生じたり、クオリティの低い提案書を出して失注します。
一方で「早く帰る」ことを意識している人は、常に「もっと、仕事を効率的に行えないか」と考えます。
例えば、作成した提案書をカテゴリーごとに整理しておき、同じような案件が生じたら、すぐに使いまわせるようにしておく。
また、お客様との打ち合わせ自体を効率的にして、打ち合わせの中で提案内容を一緒につくりあげてしまい、後は紙に打ち込むだけにするなど。
下着メーカーのトリンプのように、残業をなくしてから業績が伸びた企業もあります。
今の時代、我々上司は、メンバーに「早く帰ることが出来るように、工夫して仕事をせよ」と指導する必要があるのです。
ダラダラと残業するクセがついていると、昼間の仕事もダラダラ行い、結果的に効率の悪い人材を作ってしまうということを前回のブログでお話しました。
「早く帰る」ということを意識することで、効率的な仕事の仕方をするようになり、スピード感のある人材に育つのです。
一方若手のメンバーはこう言います。「上司が早く帰らないから、自分達も帰りづらい」と。
確かに、上司が一生懸命仕事をしているのに、「お先に失礼します!」と堂々と帰るは気が引けるという人がいるのは事実です。
では、私たち上司が早く帰れば良いのか?
確かに、上司が早く帰れば、メンバーは気兼ねなく帰ることが出来るかもしれません。
しかし、上司は忙しい・・・。なぜなら、今の上司はプレイングマネジャーであることも多く、自分の成果を出しながら、チームのマネジメントを行う必要があります。
様々な承認業務や、上層部への報告書の作成、会議資料の準備など、とにかくやることが山ほどあります。
ですから、なかなか早く帰れないのが現実ですね。
では、自分が帰られなくても、メンバーを早く帰らせる方法は何か?
それは、メンバーに「おい、みんな早く帰れよ」と一言声を掛けることです。
非常に簡単です。 「なんだ、そんなことか・・・」と思ったかもしれませんが、これをやっている上司は非常に少ないのが現実です。
自分の仕事に集中してしまい、メンバーが帰るかどうかなどはお構いなし。
それどころか、帰ろうかと考えているメンバーに、「おい加藤、ちょっと○○の資料持ってきてくれ」などと、自分勝手にお願いして、結果的に帰れない状況をつくっている・・・。
まずは、この「早く帰れ」コールを是非お願いします。
もう一つは、今よりも朝1時間早く出社するという方法です。
承認業務やメールチェックといった、「黙々と」行う作業は朝の静かな時間の方がはかどります。また、通勤電車も空いていて、朝からストレスが溜まることがありません。
手帳を見ながら、今日の予定をチェックすることもできます。
結果的に、帰る時間が早まり、「先に帰るよ。みんなも、早く上がってくれ」と言える上司になるのです。
今の若手社員(特に20代)は、真面目に仕事に取り組む人が多いですが、プライベートを大切にするという傾向があります。
平日でも、自分の好きな音楽を聴いてリラックスしたり、フェイスブックなどをして自分の時間を満喫したい人が多いようです。
そのような世代に、残業を強要したり、帰れない雰囲気を作り出すと、想像以上のストレスを溜めてしまいます。
そうなれば、もちろんパフォーマンスが低下して、成果の低迷につながります。
ひどい場合には、精神的に追い込まれ、鬱などの精神疾患に発展する恐れもあります。
そうなったら、強いチームを作ることは大変難しいですよね。
メンバーが早く帰れる状態をつくり、常に高いパフォーマンスを実現できるチームを目指してください。
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