日本人の交渉下手 ~外国人とどかが違うのか?
日本人が交渉下手である理由として、次の3点をあげることができます。1点目は「日本人が性善説である」ことです。
日本は、地政学的に海に囲まれた島国であることで、異民族から侵略されたことのない恵まれた民族です。だから、他人を疑うことなく「性善説」であり、善意を尊重します。
日本人の善意の尊重は、人間としては素晴らしいことですが、グローバル交渉の場では、甘さとして、相手に攻め入るスキを与えてしまいます。
ビジネスにおいて、外国人は「性悪説」が圧倒的に主流です。
日本社会のように相互扶助の精神などはなく、自力救済が基本です。「勝った方が正しい。負けた方は泣くしかない。頼れるのは自分だけ」という個人主義が行動原理の基本ですので「自分の勝利」しか考えません。
だから、日本人の譲り合いの精神や「話せば分かる」という相手に対する淡い期待も、日本人の交渉下手の原因の一つになってしまいます。
2点目は「日本人が農耕民族」だったことです。
「農耕民族」は、土地に根を下ろし、コツコツと米をつくるため「ムラ社会」を形成し、互助的な共同生活をしたわけです。
それにより「協調性が高い」「勤勉」「真面目」「礼儀正しい」「親切」などの、世界から高く評価されている「国民性」ができ上がりました。
一方「ムラ社会」は「秩序維持」のため「規律や掟(おきて)」が重視され、「ムラ長(おさ)」を頂点とする厳しい上下関係ができました。
それにより、「出る杭は打たれる」「長い物には巻かれよ」などの多くの「格言」があるように「村八分になる」ことを極端に恐れたわけです。
そのため、「自己主張しない」「NO!を言わない」「上には逆らわない」という日本人特有の「国民性」も醸成されました。
「日本人の国民性」で「どうせ言ってもダメだろう」とか「断られると恥ずかしい」ということで、要求ごとを口にしない人を多く見かけます。
以上はよく言われていることですが、肝心なのはこの次です。
日本人は、今まで10年、20年と交渉実務に携わってきた人も、体系的に知識を学んでなく、訓練も積んでいないため学習効果が出ていません。
だから交渉に臨むに当たって、いつまで経っても自信が持てないのです。
外国人は、交渉力をスキルとして意識しているため、交渉知識を学び、訓練を積むことで交渉スキルを磨いています。
この交渉技術レベルの差が、実践の場での勝敗を分けるため、日本人は「交渉下手」と言われる、残念な結果になることが多いのです。
例えば、日本企業がM&Aで海外企業を買収した場合、評論家から「馬鹿げた高値で売りつけられた」などと酷評されていることなどです。
グローバル交渉においては、日本人の道徳観、倫理観、行動規範といったものは、裏目に出ることがあるということをまずは肝に銘じておきましょう。
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