この30年間、人口が増えず、労働生産性は横ばいを続けている
今回は「なぜ日本人の給料は上がらないのか」というテーマでお話をさせていただきます。この30年間、日本人の給料はほとんど上がっていません。諸外国の経済は成長し、給料も上がっているのに、日本だけ取り残されている状況です。なぜこうなってしまったのでしょうか。GDP(国内総生産)の規模は、簡単に言えば「人間の数×生産性」で決まります。生産性とは付加価値を意味します。例えば100円で仕入れて材料を加工して1000円で売った場合、900円の付加価値が発生します。それを人数で掛けたものがGDPです。人口が減って、生産性を上げなければGDPが縮小します。逆に人口が増えれば、生産性を上げなくてもGDPは拡大します。
日本人の給料が上がらない理由のひとつは、人口が増えず、労働生産性が横ばいだからです。労働生産性とは、労働者一人当たりの付加価値のことです。たとえ会社の経営戦略が何も変わらなかったとしても、モノがたくさん売れる状態であれば一人ひとりの仕事量が増えて付加価値も増えるので、給料を上げることができます。労働生産性は皆さんの給料の原資です。給料を上げるためには、付加価値を増やして生産性を上げていかなければなりません。付加価値が増えなければ、自ずと給料は横ばいになるのです。1990年にバブルが崩壊した後、諸外国は段階的に給料を上げていきました。今ではアメリカを筆頭に、当時の1.5倍ぐらいまで上がっている国もありますが、G7では日本とイタリアだけがこの30年間ほぼ横ばいです。
日本の労働生産性が上がらないのはなぜでしょうか。日本の労働参加率、つまり働いている人の割合は年々増加しているので、全体の生産性は増加しています。しかし、労働者一人当たりの付加価値である労働生産性はあまり増えていません。1995年から2017年における諸外国の実質経済成長率を見ると、G7の平均は2.1%です。このうち、日本の実質経済成長率を見ると、1.3%で7ヵ国の中で最低。平均を0.8%も下回っています。その理由はどこにあるのでしょうか。実質経済成長率の内訳を見てみましょう。
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