帝人における戦略的人事の取り組み
帝人株式会社 人事戦略部長 原 美奈子氏
「多様な人財」が活躍して自己実現できるように
ご紹介いただいた通り、弊社は1918年に日本初のレーヨンメーカーとして創業しました。当初の社名は帝国人造絹糸で、人造絹糸とはレーヨンを意味する言葉です。現在は当初の社名を略した帝人を社名とし、「Quality of Life」、人間への深い理解と豊かな創造力で世界中の人々の生活の質の向上に努めるということを企業理念として掲げ、その実現に向けてさまざまな事業を行っています。また、企業理念を実現するため、TEIJINの頭文字を取ったTogether、Environment,safety&health、Integrity、Joy at work、INnovationという5つを社員の行動規範として定めています。これらはグローバル共通の社員の判断軸、何か迷った時の拠り所という形です。長期ビジョン、2030年ぐらいに実現したい弊社の姿としては「未来の社会を支える会社」を掲げていますが、このような会社になるためには、今の延長線上の製品やサービスだけではなく、社会課題を解決する新たな製品やサービスをつくっていかなければなりません。そのため、弊社が今一番力を入れているのが、イノベーションを創出し、新しい事業、サービスを生み出して事業ポートフォリオを変えていくこと。そのために、人財とD&Iを重要な経営基盤と位置付け、経営戦略として人財戦略、D&I戦略を推進しています。
事業領域は大きく4つあり、アラミド繊維や炭素繊維などの高機能繊維を中心とした素材を提供する「マテリアル事業」と、ポリエステル繊維を使った製品を中心とした「繊維・製品事業」、医薬品と医療機器を中心とした「ヘルスケア事業」、電子コミックなどを中心とした「IT事業」を展開しています。多くはBtoBのビジネスで、例えば、航空機の構造材や自動車部材、テニスラケットのフレームなど、社会の隅々で人々の生活を支えているのが弊社の製品、サービスです。昨年の売上高は1兆200億円ほど、グローバルでグループ会社が約170社、社員数は約2万2000 名で、そのうち半分以上の社員が海外で働いています。海外の方がマジョリティになりつつある状況です。
このような弊社では、製品・サービスの創造からビジネス構築、利益創出までの一連の活動全てをイノベーションとして捉えています。このイノベーションの創出には異なる視点や価値観でさまざまな経験やノウハウを掛け合わせることが必要ですから、全く異なる事業、例えばヘルスケアとマテリアルの掛け合わせで新しい製品を生み出していくような取り組みが進んでいます。また、人という点では、会社の中で社員の多様性をできるだけ富ませること、多様な社員が活躍できる企業風土や仕組みをつくることが非常に大切だと考え、多様な人財が活躍して自己実現できるようにさまざまな施策を推進しています。
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