2016(平成28)年にマイナンバーカードの交付が開始され、2022(令和4)年10月時点の全国における交付枚数率は51.1%となりました。この交付枚数率は今後、もっと増えていくものと予想されます。私たち社会保険労務士は、顧問先の従業員等に関する“労働社会保険諸法令”に基づく申請の際に、公共職業安定所、日本年金機構及び健康保険組合等にて、個人番号を記載して申請手続きをしていますが、業務の中で日々、マイナンバーカードの普及を実感しています。
「マイナンバーカード」の活用によって得られる“6つのメリット”とは? 従業員が持つと企業の業務効率化にも効果が

「マイナンバーカード」とは

マイナンバーカードは、本人の申請により交付され、「個人番号を証明する書類」や、本人確認の際の公的な「本人確認書類」として利用できます。また、様々な行政サービスを受けることができるICカードとして利用することも可能です。交付手数料は、本人の責による再発行の場合を除き、当面の間は無料です。カードの表面には以下の情報が記載され、個人番号は裏面に記載されています。

・氏名
・住所
・生年月日
・性別
・顔写真
・電子証明書の有効期限の記載欄
・セキュリティコード
・サインパネル領域(券面の情報に修正が生じた場合、その新しい情報を記載)
・臓器提供意思表示欄



「マイナンバーカード」を持つことで得られる“個人のメリット”

では、マイナンバーカードのメリットは何でしょうか。「マイナポイントがもらえる!」という点もその一つですが、その他にもたくさんのメリットがあります。

マイナンバーカードの主なメリット
・マイナポイントがもらえる
・健康保険証として使える
・本人確認書類になる
・各種証明書をコンビニで取得できる
・行政手続きがオンラインでできる
・e-Taxがもっと簡単・便利になる

マイナンバーカードのメリット

出典:総務省サイト「マイナンバー制度とマイナンバーカード」より

例えば、「健康保険証」として使えるだけではなく、入院などによって医療機関等の窓口での支払いが高額になった場合に、申請しなくても支払額が自己負担限度額までとなります。従来は、「限度額適用認定証/限度額適用・標準負担額減額認定証」を事前に申請し、健康保険証と一緒に持参する必要がありましたが、今後はオンライン資格確認が導入された医療機関に限り、原則として申請なしに限度額が適用されるのです。また、「初診時の診療報酬の自己負担額」(3割負担時)についても、マイナンバーカードでは「6円」、従来の健康保険証では「12円」と、マイナンバーカードの方が低くなっているというメリットもあります。

さらに、上記のような健康保険証としての用途だけでなく、「顔写真付きの本人確認書類」として作成することが可能です。電子的な本人確認も可能ですので、インターネット等により、どこからでも安全・確実に本人である証明をすることが可能になります。

そのほか、マイナンバーカードを利用して、住民票の写し・印鑑登録証明書等をコンビニエンスストアで取得できるサービスもあります。居住する市区町村に関わらず、最寄りのコンビニエンスストアで証明書を取得でき、市区町村窓口の閉庁時である早朝・深夜や、土・日・祝日でも取得が可能になるのです。さらに、市区町村によっては、窓口より交付手数料が安くなることもあります。加えて、居住地と本籍地が異なる場合でも、本籍地の戸籍の証明書が取得可能となっています。

また、企業にお勤めの方は、毎年の年末調整の申請の際に迷ったことはないでしょうか。多様な働き方の増加や、ふるさと納税の普及などにより、確定申告の必要が発生する人も増えているのではないかと考えられます。この毎年の確定申告も、「マイナポータル」と連携することで、医療費控除、ふるさと納税(寄付金控除)、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅ローン控除、株式等に係る譲渡所得等の情報が一括取得でき、所得税確定申告書に自動入力することが可能となります。確定申告では、申告書の誤記入によって必要以上に納税したり、追徴されたりしてしまうケースもありますので、一度利用してみてはいかがでしょうか。インターネットでの確定申告なら、自宅で申告することも可能です。

従業員が「マイナンバーカード」を持つことで得られる“企業のメリット”は何か

従業員が「マイナンバーカード」をつくることで、企業が享受できるメリットもあります。マイナンバーカードを健康保険証として利用することができれば、郵送を待たずに健康保険証が使えるようになるほか、限度額適用認定証の手続きや高額療養費の申請手続きが不要となったり、年末調整の申告が簡単になったりします。それにより、従業員の申告書の誤記入が減るなど、企業の業務効率化にもつながるため、従業員のマイナンバーカードの取得促進をするメリットはあると筆者は考えます。

入社時にマイナンバーカードを持参していただくようお願いすることで、本人確認書類や健康保険証として使うことも可能となりますので、従業員の方に対してもぜひ、マイナンバーカードの取得促進をしてみてはいかがでしょうか。
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