このタイミングで変革に着手すべきであると提言しているのが、ロンドン・ビジネス・スクール 経営学教授 リンダ・グラットン氏だ。世界的ベストセラー『WORK SHIFT』、『LIFE SHIFT』シリーズの著者であり、2021年には、世界で最も権威ある経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され、まさに現代を代表する知の巨人の一人と言える。本講演では、リンダ・グラットン氏が、アフターコロナの今まさに到来している変革期において、日本企業は働き方をどう変えていけば良いのかを語った。講演の後半では、グラマシーエンゲージメントグループ株式会社 代表取締役 ブライアン・シャーマン氏によるグラットン氏へのインタビューも行われた。
アフターコロナの今だからこそ必要な社員の働き方や仕事のredesign(リ・デザイン)
今こそ社員の働き方を変える時
リンダ氏 本日は、アフターコロナを念頭に今、何が起きているのか。そして、これから何が起こるのかをお話しします。私は、世界の変化を考える上で欠かせない3つの主要なトレンドを研究しています。1つは、「長寿化」です。長寿化は自分自身や人生、そして仕事についての私たちの考え方にも影響を与えています。第二に、「テクノロジー」は進化し続け仕事のあり方を変えていくでしょう。今後は、テクノロジー・スキルが重要です。デジタルやテクノロジー関連の仕事に就くための再教育だけでなく、スキルの向上も検討する必要があります。そして、第三のトレンドが「働く女性」の増加です。近年、家族の構成が大きく変わりつつあるのです。そして、あの出来事が起こりました。コロナ禍です。コロナ禍は、あらゆる人々に甚大な変化をもたらしました。コロナ禍前は給与の支払、キャリア開発、採用などの人事の実務やプロセスがすべてフリーズしていました。とても静的で、変化がなかったということです。しかし、コロナ禍によって、それまでフリーズしていたものが溶け始めたのです。
さて、現在の状態はどうでしょうか。また、凍り始めています。まさに今、世界中の人々が「これから」を考えています。以前の状態に戻ってしまうのは、あまりに残念ですから、コロナ禍以来私は熱心に語ってきました。「今こそが働き方を変える真のチャンスだ」ということです。これは、まさに産業革命以来のチャンスです。そして、HRコミュニティはこの機会を最大限に活用すべきです。今こそ、皆さんの専門性を活かして人々の働き方を変える時です。
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