「ウェルビーイング」実現のため2年間で1,300人の単身赴任を解消
楠田氏 今年は「人的資本経営元年」といわれますが、人的資本経営においては経営戦略と人事戦略の連動が最も重要になってきます。今日は、人事が経営と連携して戦略的に「ウェルビーイング経営」を推進されている富士通の取り組みから、多くのことを学べると思います。では、森川さん、よろしくお願いいたします。森川氏 当社はパーパスドリブン経営ということで、「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスを軸に全ての事業活動を行っています。本日ご紹介するウェルビーイングに関しても、このパーパス実現のために行うということを掲げて推進しており、「全ての社員が心身ともに健康でいきいきと働くことができる環境をつくりだす。また社員が自己の成長を実現させて、その力を最大限に発揮できる機会を提供する」ことが富士通のウェルビーイングであると定義し、グローバルで進めています。日本だけで決めたのではなく、グローバルのウェルビーイングを担当する社員が一堂に会するコミッティを年2回開催していますので、そこで議論して、このステートメントを定めました。
楠田氏 森川さんは、以前ドイツのミュンヘンに駐在されていたと伺っています。欧米、特に欧州では日本よりずっと早くから「ウェルビーイング」という言葉が広まっていましたね。
森川氏 私がミュンヘンに赴任したのは2014年ですが、企業がウェルビーイングにかなり投資をして、人も割いているのを見て、衝撃を受けました。日本企業もこれを戦略の一つとして位置付けて、いろいろな施策を展開していくことが必要だと感じています。富士通のウェルビーイングのコンセプトとしては、「Career & Growth ウェルビーイング(社員がキャリアの実現のために自律的に学び、成長し続ける)」、「Social ウェルビーイング(職場の仲間、家族や友人などとの信頼関係や良好な人間関係を構築、維持する)」、「Financial ウェルビーイング(役割や貢献に応じた適正で公正な報酬が得られる)」、「Health ウェルビーイング(社員とその家族の心身の健康を維持・増進する)」という4つを定義し、グローバルでさまざまな施策を展開していますが、その具体的な取り組みを少しご紹介したいと思います。
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