不確実性の高い時代に求められる人事の役割とは
今、人事の役割の重要性が改めて見つめ直されています。会社の戦略に合わせた人事の戦略が強く求められているのです。ところが、多くの日本企業は経営と人事との連結がなされていません。人事担当者は真摯に戦略と向き合い、行動を起こしていかねばならない。まずはこの点を強調してお伝えしたいと思います。その上で、そもそも現代に求められる戦略とは何でしょうか。考慮しなければならないのが「不確実性の高まり」です。新型コロナウイルスが起こる以前から、ビジネスは不確実性の高い環境に置かれており、コロナ禍になって加速がかかったというのが正しい捉え方だと理解されます。アフターコロナになってもこの本質は変わらないでしょう。事業は資源高、円安、気候変動、SDGs、人材不足などに直面しており、あまりに変数が多くて経営は混乱しています。さらにデジタル破壊が起き、AI、クラウド、IoT、Web3.0、NFT、量子コンピューティングなど、新しい技術が次々と現れて激しい変化を引き起こしているのです。
不確実性の高い状況下で、安全な業界などありません。「うちは大丈夫」などと思っているうちに業界ごとなくなるということが既に起こっています。何も業界の破壊は珍しいことではなく、昔からありました。例えば、100年以上前にもT型フォードの大量生産システムの出現で馬車が社会から姿を消しました。今はデジタル技術とグローバル化によって、圧倒的なスピードで変化と破壊が起きているのです。現状維持はできないと思ってください。どんな企業・組織も自らが能動的に変化して新しい価値を生んでいく。つまり、イノベーションが不可欠なのです。この場合のイノベーションとは、新しい価値を生んで少しでも前に進むことと捉えて、自分事としてほしいと思います。
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