どのようにして社員が自分で動く会社にしたのか
“職人”が主な顧客であるワークマンが、なぜキャンプギアを手がけるようになったのか。自然の中へ行けば、すべて自分でやらなければなりません。ペグを打ってテントを組み立てる。炊事場を作る。こうした作業は、まさに“職人の業”です。「自然の中ではみんな職人」というのが、我々のコンセプトなのです。ワークマンが作り、キャンプなどで愛用していただいている衣料や帽子は、実は“キャンプ歴1年”の社員が自主的に企画し、世に送り出したものです。経験が乏しくても、みんなで助け合って製作し、初年度で40億円の売上げを達成しました。
ワークマンの創業者は、私のおじにあたります。長らく弊社は、その優秀なおじによるトップダウンの組織、社長の顔色ばかりうかがう“忖度の企業”でした。それを、どのようにして“社員が自分で動く会社”にしたのか。ポイントは2つあります。
まずは「企業文化を変えること」が必要です。「会社を引き継いだ人が、前任者の仕事を否定して新しい分野を切り拓き、V時回復を果たす」といった例は多々あります。また経営コンサルタントは、会社のダメなところばかりをリストアップして、改善を促します。いわゆる「ネガティブアプローチ」です。しかし、本来はそうではなく、良いところを伸ばすべきだと私は考えています。あくまでも「人を中心にしたポジティブアプローチ」が重要なのだと思います。
そのためには、経営において「何をやるかブレない」ことが重要です。ワークマンでは、会社の方針はたった1つ。しかもこの10年間変わっていません。そのたった1つの方針は、“客層拡大”です。
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