Withコロナの時代にデジタル化・オンライン化の取り組みを進めつつ、学びの効果を着実に高めるためには、いったい何がポイントとなるのか。またデジタル化・オンライン化の波は、学びをどう変えるのか。
そこで今回は、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社の児島研介氏と加山祥三氏にご登場いただき、同社の取り組みや今後の展望を伺った。
ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社
取締役執行役員 L&D事業本部 副本部長 デザイングループ長 児島研介氏
L&D事業本部 セールスグループ 部長 シニアコンサルタント 加山祥三氏
オンライン研修をより効果的に運営するために
――新型コロナウイルスの感染拡大は企業の研修にどのような影響を与えていますか? またその中で、研修のあり方はどのように変わってきているのでしょうか?加山 弊社のお客さまのほとんどが、研修のオンライン化に取り組んでいらっしゃいます。特に2020年は、新入社員の入社時期とコロナの第一波が重なったこともあり、新入社員研修のオンライン化に苦労しながら取り組む企業様が目立ちました。
そうした中、研修のあり方自体は大きく2つの流れになっています。ひとつは、従来の集合研修の中身のまま、オンライン化するケース。そしてもうひとつは、オンライン向けに研修の中身自体も変えるケースです。前者より後者の方が効果が高まるのは言うまでもありません。
――オンライン研修の効果を高めるために何かポイントはございますか?
加山 オンライン研修には、全員が同時に受講する同期型研修と、eラーニングなどのデジタル教材を使って個々に学習する非同期型研修の2種類があります。ここでは前者についてお話しますが、同期型のオンライン研修の場合、「オンライン研修でできないこと」、「集合研修でもオンライン研修でもできること」、「オンライン研修ならではのこと」という3つの領域をしっかりと見極めることが非常に重要です。
また、受講者の熱量や雰囲気を講師が感じ取ることなどは、オンライン研修ではなかなか難しいでしょう(図の2の領域)。そういう意味でも、オンライン研修で「できないこと」は無理にオンライン化しようとしないことが重要だと思います。
逆に、「オンライン研修ならでは」の領域に焦点を当てると、移動が伴わないので受講者は参加しやすいですし、事務局側も開催しやすいので学びの機会を増やせるようになった、という声をよく聞きます。
あるお客さまの事例ですが、今まで3日間で行っていた集合研修の学習コンテンツを整理すると、3日間のうち2日間分の学習コンテンツはオンラインでも実施できることがわかりました(図の1の領域)。残り1日分の学習コンテンツはやはり集合で行う必要があると判断し(図の2の領域)、最終的には集合研修1日+2日間分の学習コンテンツはオンラインで実施しました。これまで集合研修で3日間も拘束されていたのが1日だけになった分、より効率的な研修運営が可能になりました。
――その他にオンライン研修で注意すべき点があればお聞かせください。
加山 オンライン研修において一番の課題は、やはり「集中力」です。一般的に集合研修で受講者が集中力を持続できるのは、およそ10分が目安とされていますが、オンラインではさらに短くなり5分ぐらいとされています。そのため何よりも飽きさせないための工夫が必要です。
たとえば、学習項目をコンパクトにしたり、受講者とのインタラクティブなやりとりを5分に1回ぐらいのスパンで行ったり、あるいはチャットや投票、ブレイクアウト、ホワイトボードといったオンラインミーティングツールの機能を活用するなど、学習をオンライン向けに設計し直す必要があります。
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