日本の人事制度はいままさに激変の時代を迎えています。終身雇用制度と新卒一括採用の終焉、また更なるグローバル化の進展から、企業が求める人材が大きく変わろうとしているのです。また、リモートワークの急激な普及は、場所に限定されずに人材を獲得できるチャンスを広げるでしょう。これまで日本企業が得意としてきた年功序列や同質的な人材マネジメントは、今後どのように変わっていくのでしょうか。今回は、令和時代の人材マネジメントのあり方について予測を展開します。
人事環境激変の時代、新たな雇用制度を切り開く鍵は「人材ポートフォリオづくり」にあり【30】

これからの人材マネジメントは「専門性」と「高度化」がキーワード

令和の時代も2年目を迎えました。昨年から始まった「日本型雇用制度の終わり」は、ここにきてますます加速し、求められる人材の質が大きく変化し始めています。そこにはどんな背景があるのでしょうか。

就業構造の変化
経済産業省(経産省)は昨年3月、これからの日本企業の人材マネジメントについて提言する、「変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言」を発表しました。その中で経産省は、IT技術進展による第4次産業革命が、日米の就業構造を変化させていると指摘しています。

具体的には、工場での作業や下流工程の仕事が減少し、経営戦略や新規ビジネスなどが増えていくことが見込まれています。統計的にも低スキルの製造職や事務職が減少し、高スキルの技術職や専門職が増加していることが示されています。実際に私たちの周りを見渡してみても、昭和のころに比べると工場で組立作業をしている方はそう多くないのではないでしょうか。

グローバル展開する大企業では、生産の多くはアジアを中心とした賃金の安い地域で行われています。例えば有名な話では、アップルのiPhoneは本社のあるアメリカではなく、台湾や中国などを中心としたアジアで製造されていると言われています。このように、先進国では仕事がどんどん専門化かつ高度化していっているのです。

リモートワークの普及
就業構造の変化に加えて昨今のリモートワークの普及は、働き方を大きく変えようとしています。特に在宅勤務が定着していくと、会議や資料作成など「会社に行くことが仕事」だと考えていた人たちが、実はあまり仕事をしていなかったことに気づき始めるでしょう。仕事の成果につながる時間というのは、実際はあまり多くないものです。今後は、専門性や高度な技術を持った、価値を創出できる人材だけが会社に残っていくと考えられます。

このように、賃金の高い日本では、仕事が高度化していくのは当然の流れです。逆に言えば、高い賃金をもらっているからこそ、専門的で高度な仕事をしていかなければなりません。

日本型「ジョブ型雇用」時代の始まり

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