講師
大辻 昌秀 氏
株式会社SmartHR 関西支社 支社長・執行役員
医療機関向けITソリューションのセールスとしてキャリアをスタート。商品開発のコンサルティングやスタートアップの立ち上げなどを経て、1人目のセールスとしてSmartHRに入社し、セールスチームの立ち上げを行う。執行役員・セールスマネージャーを経て、関西支社長に就任。
社会の非合理を解消するために
私たちSmartHRは、<社会の非合理を、ハックする。>というミッションを掲げています。既成概念や習慣に縛られ、多くの人が「どうせこんなものだろう」と思いながら受け入れている。とりわけ人事業務の分野にはそういった非合理が依然として多く残されておりました。そんな社会の非合理を解消することが私たちの役割だと考えています。株式会社SmartHRは2013年1月に創業、2015年11月にクラウド人事労務ソフト「SmartHR」をリリースしました。働くすべての人を後押しするサービスとしてご好評をいただき、登録企業数は20,000社を超えました。導入後のオンボーディングをはじめとしたカスタマーサクセスなどのサポートに注力した結果、「98%以上の継続利用率があるとすごい」と言われているこの業界で99.5%となっています。
これから求められる「真の働き方改革」とは?
生産性向上には何が必要でしょうか。例えば日本のサービス業の生産性はアメリカと比較すると約30~40%である、という調査結果が出ています。「生産性は負けていても、日本の方が“質”が高い」という声もあるでしょう。それを加味したとしても、日本のサービス業の生産性はアメリカの半分に満たないのです。もちろんサービス産業に限った話ではありません。前述のような課題や過重労働など様々な要素を踏まえ、日本政府は「働き方改革」を打ち出しました。しかし、今後50年で日本の労働人口は半減する見通しとなっています。人の確保がよりいっそう困難になります。その一方で、労働時間を削減しなければならない。さらに、テクノロジーによる業務効率化と同時にAIなどによる職業代替に負けない従業員のキャリア形成のサポートも必要になってくる。人の確保、労働時間の削減、従業員のキャリア形成。これら3つの難しい課題を同時に解決することが「真の働き方改革」である。私たちはそう考えています。
働き方改革の第一歩は、人事業務の効率化にある
労働時間の削減について、具体例を挙げながらお話しします。「テキパキ働くAさん」と「ダラダラ働くBさん」がいるとします。同じ仕事をすると、Aさんの方が早く終わらせることができます。だから残業はしません。しかしBさんはダラダラ働くので、毎月の残業時間がとても多い。従来の給与制度では、ダラダラ働いたBさんの方が残業代の分、給与が高くなってしまうわけです。「だったら制度を見直せばいいのでは?」と考えますが、就業規則や給与規定などの見直しをするには多くのハードルがあり、実現はそう簡単ではありません。また、2019年4月に順次施行開始された働き方改革関連法の対応については、各企業の人事担当の皆さんが牽引することになるのですが、従来の業務で多忙を極め、そこまで手が回らないのが現実ではないでしょうか。複数の企業にヒアリングしたところ、「人事関連業務の量に対してリソースが足りない」と回答した企業は全体の7割に上りました。つまり働き方改革の第一歩は、人事業務の効率化にあるわけです。
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