「チームマネジメント」とは、チームを目標達成や生産性向上へと導くための手法
チームマネジメントとは、チームを牽引する管理職やリーダーが、部下やチームメンバーを目標達成や生産性向上へと導くための手法全般を指します。具体的にはチームメンバーが一丸となって助け合える関係を作り、チームワークの向上を目指しながら仕事に対するモチベーションを上げることが重要です。そのためには、チームマネジメントを任された管理職やリーダーが強いリーダーシップを発揮し、チームとしての目的と目標を設定し、メンバーを牽引していくことが必要となります。チームマネジメントがこれまで以上に注目される背景には、深刻な人手不足やイノベーション創出の必要性、エンゲージメントの向上などが挙げられます。1:人手不足対策による効率化と生産性向上
チームマネジメントにより、チームメンバーの能力やスキルを伸ばすことで、生産性の向上が可能となります。またチーム全体で業務プロセスや役割を見直すことにより、業務の効率化も図ることができ、人員不足の解決策にもつながります。働き方改革の推進で長時間労働に対する対策が進んでいる中、生産性をいかに高めるかは喫緊の経営課題となっている点も大きいでしょう。
2:イノベーション創出の必要性
急速なデジタル化とともに、顧客のニーズやウォンツにも変化が生じています。企業は商品やサービスを提供するだけでは、もはや生き残ることができない時代になりました。このような時代だからこそ、顧客目線に立ち、いかに市場が求めるものをキャッチして送り出すことができるかというマーケティング観点やイノベーション創出が必要とされています。そのためには、チームマネジメントによってチームメンバーが持つ能力やスキルを十分に発揮できる、あるいは自由に意見を交わし発想を手助けできる環境が求められています。
3:従業員エンゲージメントが高まり、パフォーマンスや離職防止にも繋がる
チームメンバーと対話しながら、各個人の特性やスキルを伸ばすことで、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。従業員エンゲージメントとは、企業と従業員の信頼関係や、組織に貢献したいという気持ちの度合いを示す概念であり、個人・組織のパフォーマンス向上が期待されます。結果として、人材が長期定着し、離職防止にも繋がります。
チームマネジメントを行うために必要な4つのスキル
それでは、どうすればチームマネジメントを効果的に実行できるのでしょうか。まず、チームをより良き方向へと導くべき立場にあるマネージャーやリーダーには、チームメンバーが自分の特性や能力を発揮し、成果を上げる後押しする力が必要です。1:コミュニケーション能力
人員を最適に配置することはチームマネジメントの中の大きな要素の一つです。そのためにはチームメンバーや部下のことをどれほど熟知しているか、という点がカギとなります。ここでいうコミュニケーション能力とは、双方向の意思疎通、なかでもヒアリング能力(傾聴力)が重要です。チームメンバーが何に喜びを感じ、モチベーションが上がるのか、また不得意なもの、どのような能力を伸ばしたいのか、各個人の内なる意識やキャリアビジョンに目を向けることが大切です。
2:目標設定能力
チームを牽引するためには、明確な目標設定が必要です。ここで注意すべきは、ただ「売上を上げる」といった数値目標だけではなく、自分たちはなぜこの仕事を行うのか、といったビジョンを共有し、その目的達成のためにやるべきことをチームでシェアすることです。また、チーム全体の目標設定だけでなく、それを各メンバーに落とし込み、それぞれの特性に見合った多様な目標設定を行うことも重要です。
3:課題抽出力、問題解決力
各個人の能力を活かせる環境作りはもちろん、管理職にはチームに問題があった場合の危機管理能力も求められます。チームとしての目標、個人としての目標がこのままでは到達できないと予測された時点で、いかに改善すべきか課題を洗い出し、解決していくかが試されます。あわせて課題抽出力、問題解決能力も必要なスキルとなります。
4:指導力、コーチング力
各個人の能力の成長に伴い、チーム全体の力も底上げされます。チームメンバー個人の戦力が5点でメンバーの人数が5名であった場合、全員が1点ずつ伸ばせば、チーム全体では戦力が5点伸びたことになり、1人増員された計算となります。そのためには、管理職自らがチームメンバーの声に耳を傾け、能力を伸ばすことができなければいけません。適切なタイミングでメンバーが自らの課題やミッションに気付く手助けをする必要があるでしょう。解決手段やプロセスをすぐに提示せずに自ら考えさせ、気づきや解決力を高めるコーチングも織り交ぜながら、適切に指導する能力がマネジメントには求められます。
チームマネジメントの実行ポイントと課題
チームマネジメントの推進には、個人・チーム双方の成長が必要不可欠です。成長を促すために挑戦できる案件や環境を用意し、成功体験を積ませることは有効な手段ですが、そうしたマネジメントを丁寧に行うことは容易ではありません。日本企業における管理職の多くは、プレイングマネージャーだといわれています。マネジメントのみを行うのではなく、自らもプレイヤーとして業務を行う状況です。人員不足によりマネジメントに十分な時間を割けず、つい合理主義的なやり方に終始してしまうケースも多々あります。複数の人間が集まってチーム力を上げるには時間がかかります。そのため、マネージャーが自ら業務を進めてしまう状況は短期的には効率的かもしれませんが、長期的にみるとチームの成長機会を逃してしまっているかもしれません。チームメンバーを信頼することができるか、失敗を成長機会として捉えることができるか、マネージャー自身のマインドセットと意思が重要といえるのではないでしょうか。
ビジネス環境の複雑化、ワークスタイルの多様化など企業を取り巻く環境は激変しています。働き方改革はいかに生産性を上げて、ビジネスに貢献させていくかという第二章へと突入しました。個人・チームのパフォーマンスを最大限高めることで企業成長を実現させる。そうした人材戦略においてチームマネジメントが持つ役割は大きくなっているのかもしれません。
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