博報堂の調査では(小学 4 年生~中学 2年生)、97年は 51人平均だったものが、07年には67人に増えています。
「それは、きわめて軽い関係の知り合いであって、友達なんか、ほんまに?」と突っ込みたくなるのですが、彼らはそう思っているのです。
毎日一緒に遊んだり、飲んだりしなくても友達なんでしょうね。
うーん、これ、うらやましくはないですね、個人的には。
一人でいる、ということが恥ずかしいという風潮もあります。
学校で、一人で昼食を採っていたりすると、それだけで「暗いやつ」というレッテルが貼られてしまうそうです。
なので、一人のときは、こっそりトイレの個室で食事をしたりもするそうです(「便所飯」というそうです)。
やっぱり、それ、うらやましくはないですね。
私は昔から一人が好きで、映画を見に行くのも、旅行するのもだいたい一人でやってました。
時間は自由に使えるし、予定変更も相談なくできますから、楽なんですね。
いまだに単独行動が大好きで、毎夕のように激安酒場に一人で行ってしまうくらいです(余談)。
そんなイマドキの若者ですから、「一匹狼」的な仕事観は少ないのではないか?と思いつつ、弊社の意識調査をみてみます。
「職場のグループ内の協調も大切だが、まず一匹狼になってもいいから、人に負けない仕事をすることの方が、自分のためであり、会社のためである」の回答傾向を2011年と2010年でみてみると、次のようになっています。
2010年 2011年
そう思う 7.2% 11.6%
わからない 9.4% 10.0%
そう思わない 83.5% 78.4%
震災の影響なのか、2011年は、他の設問でもグラフにしたときに妙な変化を見せている数値がいくつかありますが、これはその代表ともいえる設問です。
「そう思う」=一匹狼でも良いが、やや増え、そう思わない=「一匹狼はだめ」という思考が急激に減っていることがわかります。
うーん、「友達大事」よりも、「業績志向」が強化されているのようです・・・
ちょっと、イメージと違うなぁ。
なぜそうなっているのか、傾向値をもう少し、読み解いてみます。
*「友達沢山症候群」は、世間一般では、「ひとりじゃいられない症候群」、「ランチメイト症候群」などという名前で呼ばれています。
否定的な言い方ではなく、やや肯定的な言い方にして肯定的側面も認めつつ、そこに皮肉も込めて私は「友達沢山症候群」と呼びます。友達が沢山いないと、不安なんですね。
状況に応じて、会う人、相談する人を変えるなんてことをするようです。
「職場のグループ内の協調も大切だが、まず一匹狼になってもいいから、人に負けない仕事をすることの方が、自分のためであり、会社のためである」
この設問で「そう思う」と答えた人だけのデータを見ると、予測されることではありますが、「業績思考」が強いことがわかります。
たとえば、「企業では、百の知識より一つの成果の方が尊ばれるべきである」という設問の回答傾向は、全体だと「そう思う」が39.4%ですが、一匹狼を志向する人は、60.5%がそう思う=成果が重要と答えるのです。
また、「仕事は「会社のためにしてやっている」のではなく「自分のためにやっている」のだ」という設問では、全体だと「そう思う」は42.8%ですが、一匹狼を志向する人は、57.0%がそう思う=自分のためにやると答えるのです。
この設問の最大ポイントは、どうやら「人に負けない仕事をする」という点にあります。
ここに多くの新入社員が反応したのではないかと、私は思っています。
より良く、より多く仕事をしないと、生き残れないと。
「人に負けない仕事」をやろうと思ったら、結果的に周りを活用しなければできませんし、放っておいても、仕事ができる人の周りには、人が集まってくるので、最終的にはどうやっても「一匹狼」にはならないんです。
本当の職人的な仕事で、一人で完成させられるような職業でない限り、一匹狼では成功しないのが実際だと思います。
ましてや、「企業」を選んだ以上、共同作業は当たり前のはずです。
つながりを大切にする傾向は、徐々に強くなってきていると感じています。
この思考が強化されていることは、おそらく変わりありません。
今は、facebookやmixiなどで簡単に多くの「知り合い」とつながることができるのです。
しかし、こういったつながりは、仕事とはあまり関係はありません。
「仕事の中のつながり」を意識させる必要があると思います。
会社の中における「つながり≒絆」とは、一緒に仕事をし、成果を追いかけ、その成果を出すことで出来上がるものだと思います(スポーツだって、なんだって、本当はそうですが)。
成果を求める仕事(遊び)より前に「つながり≒絆」があるわけではありません。
職場内のつながりの基本は、「業績向上のための」ものですが、
それと彼らの日常の「つながり≒絆」には相当な乖離があると思われます。
彼らには、仕事を通じてこの「つながり≒絆」を体験させ、その中で成長させて行くことが、何より重要となります。
「つながり≒絆」を重視する意識、これ活用しつつ、業績方向に引っ張っていきましょう。
間違っても「傷のなめあい集団」、「お互いほめあうだけの集団」にはしないようにしてください。
(「ほめ合い集団」、最近、増殖しています)
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