2012年に創業し、「Reshape the World」をビジョンに掲げ、前例のない最先端のサービスを提供することを目指す事業家集団。
現在は主にインターネット広告技術やHRテック関連のサービスを提供。昨年、従業員同士が成果給を、称賛や感謝の言葉と共にリアルタイムで送り合うことが出来るサービス「Unipos」をリリース。メディアからも注目を集める。
昨年のインターンにおいては、応募者数千人、参加者240人の規模で実施している。
ゲスト
田中 弦 様
Fringe81
代表取締役社長
柳川 小春 様
Fringe81
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田中:サマーインターンを本格的に始めたのは2014年からですが、実は以前から内定者研修として実施していたプログラムをそのままインターンに使っていて。インターンの内容はずっと変えていないので、ここ5年間ずっと同じインターンを開催している形になります。内定者研修の時代を含めると、10年間変わっていない(笑)。
─ やはり採用目的で始められたのですか?
田中:いえ。これは僕の原体験とも関係があるのですが、僕は大学時代に、米国と日本のベンチャー企業を数百社調べてリンク集を作る、といったことをやったことがあって。インターネットの素晴らしさを初めてそこで知ったんですよね。当時僕は、文学部で『平家物語』専攻だったのでインターネットと全然関係ない(笑)。でも、これがもう楽しくて、僕はインターネットの世界に入っていくことになった。
つまり、大学生に対して新しい発見の機会を提供したい、さらにインターネットの可能性や素晴らしさを感じてもらって、インターネット産業に入ってくれたらいいよねという思いがありました。
なので、まず採用ありきというよりも、インターネットの凄さに触れる機会を増やしたいということで始めました。
─ 自分と同い年でこんなにすごいやつらがいるのか、海外ではこんなビジネスをやっているんだ、そんな発見が強い原体験なったとブログで発信されていましたよね。
田中:Amazon.comのショッピングカートの遷移の仕方が美しすぎるという話で、和民でひたすら飲めるっていうやつもいました(笑)。こんな変態が世の中にいたんだなという感じです。『平家物語』とか文学部の周りにはそんな人いなかったですからね。
実際その時に、こんなビジネスもあんなビジネスもあるよねとワイワイ話していた人たちが、その後ライバルになって、そいつらに負けてたまるかって刺激し合えた。僕の原点です。
だから当時体験したことを、いろんな人に追体験してもらいたいと思っています。
─ インターンについてですが、たしか参加者は、毎年総合職は100名、技術職は50名ぐらいでしたよね?
田中:毎年大体それくらいですね。去年インターンに参加した総合職は過去に比べて突出して多く、計230~240人でした。
─ 応募はどれぐらいありますか?
田中:応募は数千名あります。
─ すごい応募数ですね(笑)。そこまでの応募数であれば、学生の間でも御社のインターンの評判が広がっているということですよね。
学生のクチコミを見ていて気が付いたのですが、インターンに参加するための選考の中で、コミュニケーション能力を問われるような独自のグループワークがありますよね。それって実際どんなグループワークなのでしょうか?
田中:実は…、去年までやっていたのですが、今年からやめることにしました。
─ ちなみに去年まではどんな内容だったんですか?
田中:もうやらないから話してしまうと、普通グループワークでフェルミ推定とかロジカルシンキングとか、そういうのになっちゃうじゃないですか。そうすると慣れている学生が簡単に答えを出せて突出できてしまうので、それは嫌だなと。僕たちがやりたいことは、グループワークに慣れてる学生を選別することではなくて、うちに合いそうな人の原石を見つけることだよねと。
うちの会社は、新しい事業や新しい領域に攻めにいくことが多い会社なのですが、当然1人で攻めにいっても死ぬだけなんですよね。なので、集団で攻めてサバイバルしていくことがすごく大事になってきます。
じゃあインターン面接でやっているグループワークがどういうものかというと、みんなで地図を作りましょうっていうテーマです。5枚に分かれたヒントを学生に渡します。「誰々さんの隣に誰々さんの家がある」とか、「誰々さんの家にはペット飼ってあって」みたいな。地図は5人全員知恵を出し合わないと完成しません。なので、誰かが突出したところで完成することはできない。そういった普通のグループワークじゃないことをやらせることによって、うちに合う人をちゃんと見極めるようにしようという意図ですね。
─ 御社の求める人物像は、行動力や好奇心に加えて、コミュニケーション能力がどこまで優れているのかという点でしょうか?
田中:どちらかと言うと、コミュニケーション能力よりも未知なるものへの興奮だと思うんですね。例えば「こんなグループワークやったことねー!やばい!!」っていうふうに。その時点で、合格ですね。逆に、「えっ、こんなやったことない。怖い…」みたいな感じだと、ちょっと違うなと。グループを仕切ったり、リーダーシップを発揮したりというのは必要なくて、未知なるものに対する挑戦、興奮っていう素質を見たくて。
インターン自体の内容もそうなんですよね。何百社も海外の会社を見ますという内容で。ずっと英語を読み続けて、しかもほぼ寝ずにやることもあるので、未知なるものへの興奮とかそういうのがないと、とてもとてももたないです。なので、コミュニケーション能力よりも、未知なるものへの興奮という素質を見ています。
─ なるほど。あえてグループワークの内容を今年変えられるというのは、何か背景があるんですか?
田中:原因は口コミサイトなんですよ。
─ なんと(笑)。大変失礼しました…。
田中:いやいや、全然(笑)。長年ずっと変えずにやってたのですが、「これ書いてましたね」っていう学生がいて。
─ 未知なる内容じゃなくなってしまったんですね。
田中:そうそう。未知なる内容じゃなくなった瞬間に、これはいかんということでやめることにしました。
─ 採用ターゲットが変わったということではないですよね!?
田中:採用ターゲットは変わっていないです。
─ 口コミを見ると、インターンのプログラムは、3日間で海外のVCが出資しているイケてるスタートアップを1つ選んでリサーチして、かつ未来予測まで行うというものかと思います。このプログラムをずっとやり続けているのはどんな理由なのでしょうか?
田中:一つ目の理由は、先ほど申し上げた、未知なるものとかインターネットの素晴らしさを知ってほしいというもの。
二つ目の理由は、アイディアを考えることよりも、その後の未来予測に時間を使ってほしいという思いがあります。
というのも、新規事業の立ち上げにおいてアイディアそのものはほんの一部に過ぎないというのが僕の持論。例えば、今Uniposというサービスを展開しているのですが、あれもこれもやりたいというアイディアはたくさん出てくるのですが、じゃあそのアイディアをどうやって実現するのかがすごく重要で。どういう場面で、どういう人員数で、どのぐらいのお金で、どういうシステム構成で実現するのかという。いわゆる新規事事業創造系のインターンは、アイディアを考えるところが多分8~9割で、その後の実現方法を考えるところってあんまりしないですよね。
なので、Fringe81のインターンでは、そのアイディアを考えることに時間を使うよりも、既に世界中の天才たちが考えたアイディアを与えた上で、その事業創造にとって大事な、未来予測を考えるところに8割ぐらい時間を使ってほしいなという想いがあります。
─ このテーマ設定も、参加した多くの学生が成長につながっていると感じている大きな要因かもしれないですね。
田中:そうですね。未来予測は、記事やWEB上に答えがないので。自分の頭で必死に考えないといけない。