支えるのが、A(I 人工知能)とビッグデータを中心とするHRテクノロジーです。本セッションでは、HRテクノロジーの最新事情と、「AI+ビッグデータ」が人事・教育システムをどう変え、何ができるようになりつつあるのかについて、わかりやすく解説いたします。
講師
平野正信氏
サムトータル・システムズ株式会社 代表取締役社長
IBMの開発エンジニア、日経マグロウヒル社(現日経BP社)記者、ハイペリオン日本法人代表、レッドハット・アジア担当VPなどを経て現在に至る。記者としての人脈、ソフトウエア全般、会計、人事などのITソリューションなどの豊富な経験を生かし、業界のビジョナリーとして活躍。明快な説明に定評がある。
日本の現状とHRテクノロジーの役割
当社は、ラーニングやタレントマネジメントなどの人事ソリューションを全世界に供給しているグローバルなITベンダーであり、顧客企業は全世界で約3,500 社にのぼります。日本法人は2001年に設立し、日本のお客様のさまざまな人事課題に対応したソリューションをご提供しています。今日は、最近、私たちの製品にも導入が進んでおり、人事分野でさまざまなことを実現し始めているHRテクノロジーについて、最新事情をお話ししたいと思います。
初めに、日本企業のHRにおける現状と課題を整理すると、やはり、大きいのはこれから始まる人口減少という問題です。国土交通省「国土の長期展望」(2011年)によれば、現状のまま進んだ場合、2100 年に日本の総人口は5,000万人にまで減少すると推計されます。これは明治末期の人口規模です。生産年齢人口の割合も2060 年頃まで低下し、50%台になるという予測データもあります(国際連合「World Population Prospects: The 2012 Revision」等による)。ただし、この傾向は日本だけでなく各国で見られており、労働力の確保は世界的に難しくなるということです。加えて、近年、日本の一人あたりGDPは先進諸国の中で徐々にランクを下げ、OECD34カ国中20 位まで下がっています。
つまり、企業の人事部門にとってみれば、今後は人を採用することがより困難になり、今いる社員を大切にしながら、社員一人ひとりの生産性をいかに向上させていくかということがきわめて重要になるわけです。そのためには、例えば、教育やパフォーマンスマネジメントといったことを新たに考えていかなければなりません。そのとき、力になるのがHRテクノロジーです。
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