GMOリサーチ&AI株式会社(GMOインターネットグループ)は2024年6月14日、「AIトレンド」に関する調査の結果を発表した。調査日は2024年5月20日で、日本国内の15歳以上の男女1,105人から回答を得ている。調査結果から、生成AIの認知状況や利用状況、職場での活用に対する賛否などが明らかになった。
企業における“生成AIの業務活用”は進んでいる? 「肯定派」が32.8%と多数も、活用に必要なノウハウはいまだ定着せずか

生成AIの“認知状況”は72.1%、“利用状況”は33.8%に

近年では日常のあらゆる部分に密接に関わっている「生成AI」だが、企業においても業務効率化や生産性向上を目的とした活用が進んでいる。その活用シーンや用途などはさまざまであるが、実際に職場ですでに生成AIを活用している人はどれほどいるのだろうか。

はじめにGMOリサーチ&AIは、調査対象者における生成AIの「認知状況」および「利用状況」を調べている。すると、認知状況については、「知っている」とした人が72.1%(非常によく知っている:3.9%、ある程度知っている:14.5%、少し知っている:53.8%の合計)となり、今年2月に実施した同調査における同回答と比較して1.0ポイント増加したという。ただし、昨年11月→今年2月の変化(7.5ポイント増)と比べると増加幅は小さく、停滞気味であるとの見解を示している。

また、利用状況については、「使ったことがある」とした人は33.8%(日常的に使っている:2.7%、ときどき使っている:12.2%、ほぼ使わない:18.8%の合計)と、今年2月と比較して0.3%の増加にとどまっている。
生成AIの「認知状況」および「利用状況」

最も利用されている生成AIツールは「ChatGPT」、唯一の利用率増加

次に同社は、生成AIを「日常的に使っている」もしくは「ときどき使っている」とした人に対し、「定期的に利用している生成AIサービス」を尋ねた。すると、「ChatGPT(OpenAI)」が61.8%でトップとなり、以下は「Microsoft Copilot[旧Bingチャット](Microsoft)」が19.4%、「Gemini(旧Bard)(Google)」が17%と続いた。

結果を今年2月の調査と比較すると、多くのツールにおいて利用率が減少するなか、「ChatGPT(OpenAI)」の利用率は13.4ポイント増加したという。これについて同社は、「『ChatGPT(OpenAI)』については、2024年5月13日に新モデル「GPT-4o」が発表され、応答速度の向上や、日本語における能力向上、APIの利用料金が従来の約半分になるなど、大幅なアップデートがあり、利用増加の一因と考えられる」と考察している。
定期的に利用している生成AIサービス

「勤務先での生成AI活用」について“肯定的”な人は38.1%、否定派の約2倍に

同社は最後に、“勤務先”および“仕事の取引先”での「生成AIの業務活用についての捉え方」を尋ねている。勤務先での業務活用については、“肯定的”な人が38.1%(積極的に活用を進めるべき:10.5%、一定の活用は必要だが慎重に進めるべき:27.6%)であったのに対し、“消極的・否定的”な人は15.9%と、肯定的な人が否定的な人の2倍以上いることがわかった。他方、「わからない」とした人は46%で最多となり、全体としては生成AIに関する知識がまだ十分でない人が多い現状もうかがえた。

また、仕事の取引先での業務活用については、「好ましい」とした人が32.5%(とても好ましい:6.7%、どちらかといえば好ましい:25.8%の合計)であるのに対し、「好ましくない」とした人は15.7%(どちらかといえば好ましくない:12.3%、全く好ましくない:3.4%の合計)で、約2倍の差が開いた。また、勤務先と同様、「特に何も思わない」とした人は51.8%と半数を超え、最多となった。
生成AIの業務活用についての捉え方
本調査結果から、生成AIの“認知状況”は72.1%、“利用状況”は33.8%で、いずれも今年2月の同調査から増加していることがわかった。なお、利用している生成AIツールについては、多くのツールにおいて利用率が減少するなか、「ChatGPT(OpenAI)」の利用率のみが増加していた。また、「勤務先での生成AI活用」について“肯定的”な人は38.1%と、否定派の2倍以上になるも、「わからない」とする人が最多の46%となった。生成AIの認知や活用は現在進行形で進んでいるため、まだ取り入れていない企業でも、その導入効果を検証してみる意義はありそうだ。

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