1. 女性を採用・育成できない
2. 休業・時短勤務後の復職がうまくいかない
3. 長時間残業が恒常化している
4. 成果主義の定義を誤っている
また、女性が管理職になりたくない理由として「長時間労働になりそう」「ロールモデル・目標となる女性管理職がいない」「女性の管理職が少なく、男性の中のマイノリティになる自信がない」などの声が挙げられた。
これらは「働く女性」にフォーカスしたものだが、加えて「男性の育休」がなかなか浸透しないことも原因のひとつと考えられる。
男性の育休取得は「評価の妨げ」になる?
男性の「育休」が制度として存在していても、実際に育休を取得した男性に対して復職後、公平に人事評価ができていない企業や、前例がないという理由で育休を許可しない企業がある。小さな子供がいる家庭では、男性(父親)の育休が取れない場合、預け先の確保ができなければ母親が自宅で対応するしかなく、女性が職場復帰や就職ができないといった問題が起こっている。
個人的な話になるが、私の弟の家では、上の子は「小1の壁」問題、下の子は「待機児童」問題で、義妹の復職が危ぶまれていた。だが、弟が育休を取得することで、義理の妹は復職を果たし、弟もとても楽しそうに育児をしている。政府の方針のお手本のような事例ではあるが、姉として復職した後の人事評価がどうなるのか、とても興味をもっている。
女性の働き方に変化はあるが、男性の意識に変化はない
本連載第1回「働き方改革とは組織風土との戦いである」では、政府による「働き方改革」の最大のチャレンジとして、男性の意識・行動計画が大見出しで掲げられていることについて触れたが、現在の企業風土・文化は男社会であった高度成長期に作られたものとさほど変わっていない。女性の働き方の歴史を振り返ってみると、私が新卒で企業に入社したバブルの終わり頃、女性は制服を着て「お茶くみ・コピー取り」をしていた。女性にとっての仕事は「腰掛」で、女性は男性社員のお嫁さん候補、顔で採用している、など今なら女性蔑視とみられる考え方がごく当たり前とされていた時代であった。
その後、男女雇用機会均等法が施行され、女性初の管理職が登場したが、私が管理職になった頃は「女性の上司」に不満を持っている男性社員も多かった。そうした中、当時の私は文化や風土を変えるべく必死で努力をし、自分の地位を築いてきた。
それに比べ、現在の男性は「女性が活躍できるような文化や風土にしよう」と、一見、意識に大きな変化が起こったように見える。しかし、先に挙げた女性がなかなか活躍できない現状や、男性の育休取得が浸透しない状況を見れば、必死になって変化を起こそうとしているとは考えにくい。その風土や文化から脱却できない、むしろ脱却したくない、というのが本音ではないだろうか。