2016年10月にシカゴで開催された「HRテクノロジーカンファレンス&EXPO2016」は、世界最大のHR Techイベントです。参加者数8,500人、セッション数66、ブース数400と盛大に行われた中、人事業務をITで支援するさまざまな新サービス・新商品が発表されました。そこで今回、このイベントに動向調査のため参加した日本総研・宮下氏をお招きし、世界のHRテックの最新潮流と日本への適用の可能性について語っていただきました。
第3回 HRテクノロジーコンソーシアム(LeBAC)関西WGセミナーレポート

アメリカのHRを取り巻く背景

今回『HRテクノロジーカンファレンス&EXPO2016』でさまざまなセッションを聞き、なぜ今アメリカ国内でこれほどHR Techが注目されているのか、そこにはアメリカなりの背景があると感じました。その背景とは大きく分けて3つ挙げられます。1つ目は仕事量の増加です。リーマンショック以降、アメリカ人はよく働くようになったと言われています。ビジネス環境が複雑になってきているのと同時に、景気の低迷に伴って企業側も従業員側も余裕がなくなってきている。まずはそういう背景があるのです。続いて2つ目は生産性の低下。日本に比べればアメリカの生産性は高く感じますが、実は2011年以降、生産性は伸び悩んでいます。そんな中でHR Techの有効活用が求められているのです。そして3つ目がミレニアル世代。これは1981年~1997年の間に生まれた世代を指すもの(諸説あり)ですが、2015年時点で18歳から34歳を迎えたこのミレニアル世代の数が、ベビーブーム世代の数を追い抜きました。これはアメリカ社会の中では大きな出来事として捉えられており、今後ミレニアル世代の人材をどのようにマネジメントしていくのかが課題になっています。そしてその人事管理手法の一つとして、HR Techが注目されているのです。

HR Techにおける10のトレンド

以下はセッションで紹介されていたベンダーサイドから見たHR Techにおける10のトレンドです。

・Appification of everything
・ERP vendors can’t do everything
・Reinventing performance management
・Analytics growing rapidly
・Feedback and pulse surveys
・Wellness, fitness apps
・New recruitment platforms
・Next generation learning platforms
・Design thinking
・Behavioral economics


この中から印象に残ったものをいくつかご紹介します。まずは「Appification of everything」。これはすべてがアプリ化されているということです。例えば、タブレットの中にすべてのアプリが入っており、異なる会社のアプリ同士もデータで連携されているといった事例が紹介されました。続いて「Feedback and pulse surveys」。これはアプリでフィードバックするということ。つまりメッセージを送り合うメッセージアプリの人事マネジメント版のようなものです。そしてもう一つ私が興味を持ったのは、「Wellness, fitness apps」です。これは人事管理の仕組みの中にフィットネスアプリを入れたもので、例えば歩数や心拍数などが測れるウェアラブルデバイスを従業員に装着させ、人事管理画面とデータで連携しながら、コンペティション形式で、上位者にはインセンティブを与えるなどして従業員の健康管理を促進していきます。

AIはHR部門に何をもたらすのか

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