「入社前」に配属先伝達が約6割
内定辞退と合わせて、入社後の早期退職にも影響を与えているのが「配属ガチャ」、つまり自分の希望と異なる部署や勤務地への配属です。この配属ガチャによる内定辞退や早期退職を低減するために、本人に配属先を伝えるタイミングを早める動きがあります。配属先を伝える時期について確認したところ、全体では、昭和世代において一般的だった「新入社員研修終了時」は19%(前回調査24%)にとどまり、「選考途上」が29%(同25%)で最多となりました[図表10]。従業員規模別でも、「選考途上」は前回調査でわずか7%だった大企業で一気に30%に増え、「新入社員研修期間中」(26%)、「新入社員研修終了時」(22%)を抑えてトップになっています。「選考途上」は、中堅企業で19%、中小企業では36%に達し、いずれも最も高い割合となっています。中堅企業では、「年明けから入社式までの間」と「新入社員研修終了時」がともに17%で次に多くなっており、「内々定から内定式(または10月1日)までの間」と「新入社員研修期間中」もともに14%となるなど、あまり差がない値で分散しています。一方、中小企業では「新入社員研修終了時」(20%)、「年明けから入社式までの間」(16%)が多くなっています。
配属先を伝える時期を「入社式」を起点に、「入社前」(「選考途上」~「年明けから入社式までの間」の合計)と「入社後」(「入社式当日」~「新入社員研修終了時」)で比較してみると、「入社前」が全体では58%と半数を超え、大企業は44%と4割台にとどまる一方、中堅企業は61%、中小企業は64%とどちらも6割を超えます。ジョブ型採用や職種別採用は、大企業において導入される例が増えていますので、今後大企業でも「入社前」に伝える割合が多数派になってくるものと思われます。
従業員規模別で見ると、導入が最も進んでいるのは中堅企業で、「導入している」6%、「導入を検討している」14%は、どちらも大企業(それぞれ4%、11%)や中小企業(それぞれ4%、10%)を上回っています。「選考プライオリティ・パス制度を初めて知った」割合が最も高いのは中小企業で、ちょうど半数の50%に上ります。今後、導入企業が増える余地は大いにありそうです。