「より高い志望度の他社から内定を得た」以外の内定辞退理由とは
内定辞退の理由(複数回答)はどうなっているのでしょうか。内定辞退の大半は、重複内定の結果、最終的に入社したい1社に選ばれなかったわけですから、「より高い志望度の他社から内定を得た」が81%で、内定辞退理由のトップとなっています[図表4]。次いで、「給与・待遇面で期待に沿わなかった」24%、「就業場所(勤務地)が希望と合わなかった」18%、「職種・業務内容が希望と合わなかった」17%と続き、「企業文化や社風が自分に合わないと感じた」との回答も10%あります。「家族や知人からの助言により、再考した」の割合も8%と1割近くあり、決して侮ることはできません。その他、内定辞退に関して寄せられたフリーコメントを抜粋して紹介します。実家にこだわる学生が増えたとの声は、最近よく聞くようになりましたね。
・通勤圏内での就業にこだわる。 転勤を拒む(301~1000名、サービス)
・勤務地や部署など希望と合わない場合は辞退する学生が増えた(301~1000名、情報・通信)
・はっきりと初任給や想定年収を辞退理由に挙げるようになった(300名以下、メーカー)
・初任給の高さにこだわる学生が増えた(301~1000名、情報・通信)
・両親の説得(1001名以上、メーカー)
・新卒から夢追いを志す人数が増えたように感じる(1001名以上、情報・通信)
・選考参加時とは志望する職種が変わったことを理由とする辞退が増えた(300名以下、マスコミ・コンサル)
中には、「堂々と内定辞退をする学生が多くなった(申し訳なさをあまり感じない)」(300名以下、サービス)や、「ここ数年は、電話ではなくメールで一方的な辞退が一般的となっている」(300名以下、運輸・不動産)、「明確な理由がない、ふわっとした辞退が増えた。例えば、直観でとか」(300名以下、情報・通信)といったコメントもありました。共感できる内容はありましたでしょうか。
採用活動を開始する前には、大学や専攻、語学力、志向・性格タイプなどでターゲット層を設定することが多いと思います。現在の内定者において、当初設定したターゲット層に該当する割合がどの程度であるかを確認したところ、全体では「80~100%未満」が35%で最も多く、次いで「50~80%未満」(26%)、内定者全員がターゲット層の「100%」(23%)と続きます[図表5]。「100%」と「80~100%未満」を合わせたターゲット率「8割以上」の企業が58%と6割近くになります。
従業員規模別では、「100%」の割合は大企業11%に対して、中堅企業26%、中小企業29%と、意外にも従業員規模が小さい企業のほうが高い割合となっています。ただ、大企業は内定者数が多いこともあり、「80~100%未満」までを加えてみると、大企業63%、中堅企業52%、中小企業61%と他の従業員規模よりも高い割合となります。また、「30~50%未満」~「0~10%未満」を合計した「50%未満」で比べてみると、中堅企業20%、中小企業18%と2割程度となっているのに対して、大企業では8%と1割以下にとどまるなど、ターゲット層を確実に採用できているかという点においては、やはり大企業が他の従業員規模をしのぐ結果となっています。