学びも、採用も、「個別最適化」が求められる
――世の中の変化、そして教育改革の背景から、大学におけるキャリア開発においても、変化が起こっているのでしょうか。風間氏:各大学でラーニングマネジメントシステム(LMS)を導入し、学生が大学生活4年間を通して何を学び、どのようなスキルがどの程度身に付いたのか、「学びのポートフォリオ」を記録・蓄積する動きがあります。それをアセスメントして能力を証明する、ディプロマ・サプリメントという学習成果を証明する仕組みを構築して、キャリア開発や就職活動に役立てていく流れが強くなっていくでしょう。
風間氏:学生の働くことへの意識にも変化が見られます。先日驚いた調査結果を日本経済新聞社が発表していました。学生が希望する雇用体系として「ジョブ型」を志向する人は54%と、メンバーシップ型(44%)を上回る結果が出ています。
参照:転職前提が4割「大手も安心できない」就活生独自調査 (: 日本経済新聞社)
また、一般社団法人日本能率協会の調査によると、新入社員が入社を決めた理由は、この10年間で変化しており、特に「能力・成長実感」を重視する学生が多くなっている傾向が見られます。
学生が「ジョブ型」を正しく理解しているかどうかは置いておいて、こうした結果から推察できるのは、学生は自らのスキルや自分の強み、得意なことを評価してほしいと考えていること。そして自分の価値が発揮でき、能力を高められる企業への入社を希望していることです。学生時代に学びやアルバイトなど、多様な経験をしている学生ほど、「自分の強み、個を見て欲しい」という意識が強くなっています。
――昨今様々な業界で個別最適化されたサービスが生まれていますが、就職活動においても「個」を大切にした意識が強くなっているのですね。
風間氏:そうですね。小中高の学びの領域も、個々の苦手領域に応じた練習問題のリコメンドなど、パーソナライズされたサービスの提供がスタンダードになりつつあります。ポイントは買い物など消費材だけではなく、進路実現という人生の意思決定においても、パーソナライズされた顧客体験サービスに慣れ親しんだ世代が大学生になってくることからも、「個」を大切にしたマッチングや採用、育成が益々必要不可欠になってくるといえるでしょう。
――こうした傾向は、企業にどのような影響を与えているのでしょうか。
風間氏:企業も、自社が求める人材の志向性をしっかりと把握し、個々に合わせたコミュニケーションをする必要が出てきています。
パーソル総研の「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」では、入社後のリアリティショックが低い新入社員は、リアリティショックが高い社員よりも、自分の能力や適性、必要とされるスキル、社風などについて、入社前に理解できていたという結果でした。
【調査結果】入社前の会社・適性理解の内容
パーソル総合研究所×CAMP共同調査「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」
つまり、「自分の強みやスキルを活かしたい」と望む学生に対して、企業側も「入社後に必要となるスキル」など活躍できるフィールドがあることを分かりやすく伝えることで、自社にマッチした人材を確保でき、早期退職のリスク低減に繋がるのです。
従来は大量の母集団を形成して選考する、”量で質を担保する”採用活動が主流でしたが、今は本当にマッチする人材をピンポイントで採用していく時代になりました。だからこそ、当社が提供する「dodaキャンパス」のようなダイレクトリクルーティングサービスを、多くの学生や企業が活用してくださっているのだと思います。