「ツール」はテレワークに使うITツールをイメージしそうだが、ここで紹介するのはプロジェクト管理表や作業分担表など、誰がどんな作業をするのかを把握できるようにするツールだ。目的を名確認した上で、何を作るか制作物を定義。作業を分解したうえで振り分ける。進捗も一覧できるよう表などで確認できるようにする。これにより、お互いが見えないことで作業がかぶってしまったり、意図と違った制作物が出来たりすることを防げる。
最も重要なのが「信頼」だ。上司が在宅でテレワークする部下と信頼関係を構築できておらず、「きちんと仕事しているか疑う」ことや、「業務を安心して任せきれない」と考えることはよくあるのだそうだ。
信頼を構築するために「変わる必要があるのは上司側」と鵜澤氏。特に上司のスタンスやマインド、仕事の与え方がポイントとなる。まず、正しいアウトプットにつなげるため、チームとしての目的と個々の業務のゴールイメージを正しく伝える。そして、アウトプットの質だけではなく、それに至るプロセスまで追いかけることで、信頼関係を構築し、生産性の向上にもつなげられる。
部下が若手でまだサポートが必要な場合は、始業時や就業時に10~15分程度でいいので、進捗を共有する「1on1ビデオ会議」を毎日行うのも効果的だという。画面を共有しながら話すことで、認識のズレがなくなる。また、部下が作業上分からない部分も、的確にアドバイスできる。
そして、信頼関係の構築で忘れてはいけないのが「コミュニケーション」だ。例えばテレビ会議では、開始前の数分間に雑談する、テレビ会議中にチャット機能でリアクションを返すといったことで、コミュニケーションが取れる。また、チーム内に相談しやすい雰囲気が醸成されれば、トラブルを未然に防げるばかりか、生産性を高めることにもつながる。また、テレワーク導入時は「ITツールも含めてツールから議論が始まりがち」という。ツール依存にならず、ルールづくりと信頼の醸成も同時に進めることが肝要といえそうだ。
最後に鵜澤氏は「テレワークを暫定対応と考えて取り組む企業は、採用競争力でも遅れを取ります。働き方改革 第2章と捉えて、恒久的な取り組みにしてほしい」と話してくれた。テレワークが制度として確立し、働き方として当たり前となっていれば、働く人のエンゲージメント向上にもつながるし、採用時のアピールポイントにもできる。同業他社がテレワークに成功していれば、出来ていないことがマイナスにつながる可能性もある。期せずしてテレワークに取り組む企業も、これを機に本腰で取り組むことは大いに意味があるだろう。
【出典】
●※:働き方改革に関するアンケート 結果報告(HR総研/ProFuture株式会社)
【参考リンク】
●EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
●EYJapan、テレワークに役立つノウハウや方法論を公開
●テレワークで成果を最大化させる方法とは
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