開発の原点は「越境リーダーシップ」
一方の「クリエイティブ・カルチャー・プロファイル」は、組織が新規事業創造を支援するカルチャーの要素を持っているかどうか、現状を分析し可視化するための組織調査で、メッセージの浸透、制度や機会の整備、認識やマインド等について、所属メンバーに回答してもらうことで組織の課題を炙り出していく。ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社ではこれまで、上記の組織調査とは別に、新規事業創造に取り組む合計522人を対象にアンケート調査を実施。その集計結果によると、「私が所属する組織は、変革および新たな価値創造をする必要があると思う」という項目に対し、96%の人が「YES」と回答した。しかし、続く「変革および新たな価値創造に向けて取り組みたいアイデアがある」という項目に対して、「YES」と回答したのは62%、さらに、そのうちで「変革および新たな価値創造の実現に向けて行動している」という項目に対して、「YES」と答えたのはわずか18%だったという。
「つまりどこの組織にも共通しているのは、課題感を持っている人は多いのに、実際に行動している人は少ないということです。逆にアイデアを持っている人が行動に移す割合が増えていけば、組織のカルチャーもどんどんアップデートされていくでしょう。私は、この2つのサービスを通じて、ただ新規事業を増やしていきたいわけではありません。個人の想いやビジョンが込められた事業アイデアを形にすることで、社会に新たな選択肢を創造するお手伝いがしたい、想いのある個人を主体にした価値創造が起こる組織をもっと増やしていきたいと思っています」(三浦氏)
三浦氏のこうした想いは、平行して取り組んでいる「越境リーダーシップ」プロジェクトによる影響も大きい。「越境リーダーシップ」とは、想いを持った個人が既存の枠組みの境界を越えて、社内外の必要なリソースと繋がり、新しい社会的な価値を共創することを指すが、三浦氏は2012年にプロジェクトを立ち上げて以来、越境リーダーに関する調査研究や越境リーダーを支援するコミュニティ運営などを行いながら、企業内で個人を起点として新しい価値が生まれ続けるエコシステムをいかに作れるかを模索してきた。今回取り上げる「価値創造リーダーシップ体験プログラム」と「クリエイティブ・カルチャー・プロファイル」は、まさにこうした長年の取り組みの成果や想いが礎になっていると言えるだろう。
【体験セッションレポート】イノベーションの創出を疑似体験!
2020年2月4日、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社の東京ラーニングセンター内で「価値創造体験カードゲーム」の体験セッションが行われた。イノベーション創造に取り組む企業の事業企画、組織開発、人材育成に取り組む実践者ら、約30名が参加。新規事業を創出する疑似体験を通じて、価値創造が成功するパターンや、価値創造ができる人・できない人、生まれる組織・生まれない組織の違いなどを探求するのが狙いだ。ゲームのルールは、決して単純ではない。それは現実の世界と一緒だ。実際の価値創造に方程式がないのと同様、ゲームの中で何が起こるのか予測するのは難しい。そこで今回ファシリテーターを務めた三浦氏は、ゲーム開始に当たって3つのキーワードを掲げた。まず1つ目は、「Learning by doing=やりながら学んでいく」ということ。2つ目は、「Never give up=成功するまであきらめない」こと。そして3つ目は、「Beyond the border=自分の枠を越境してチャレンジする」こと。いずれも実際のビジネスにおいても不可欠な要素である。
まず参加者は、異なる業種の5つの企業(A化学、B商社、C航空、DNGO、Eバンク)に分かれ、1人がマネージャー、その他のメンバーがプレイヤーとなる役割を決定する。さらに各チームには事前に、チームによって異なる内容の事業カード、リソースカード、お金カードが配布される。それをもとに各チームのアイデアや構想を具現化していく。参加者は組織としての目標達成のためにチーム内外で協力し合う必要があるが、同時に自分の新規事業を通じて実現する社会価値「Will」をシートに書き込み、個人の目標達成のためにも行動しなければならない。ゴールは、手持ち資金と未来資産の合計額で、4タームでの勝負。1タームにつき、3分の計画タイムと10分の行動タイムが与えられ、プレイヤーは行動タイムには自由に歩き回って、他チームとの交渉などに奔走する。
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