18卒採用動向(内定)
次に内定に関する様々な調査結果をご紹介しましょう。文系学生への内定出し開始時期で最も多かったのは「5月後半」。前年トップだった「6月前半」は5ポイント以上も減少しました。複数選択で聞いた文系の内定出し時期も、前年よりも「5月後半」までは増加し、「6月前半」以降は減少。一方、理系の内定出し開始は「3月前半」「5月前半」が増加し、内定出し時期も「5月前半」までが増加、「6月前半」以降は減少しました。学生側に目を向けると、まず内定保有率では、文系で「旧帝大」「早慶」が91%、「中堅私大」「その他私大」が88%に。「その他私大」は前年の70%から大幅にアップし、大学間格差が縮小しています。理系は軒並み9割以上の内定率となる中、「中堅私大」のみ8割で苦戦。これは自由応募での大手企業志望者が苦戦したことが要因だと推測されます。
また、内定保有率では大学間格差が減少していますが、内定先企業の従業員規模で見てみると、大手企業からの内定取得率では大きな差があるなど、依然として大学間格差が見られました。「その他私大」等が前年よりも大幅に内定保有率を上げたのは、中堅・中小企業でも内定を出した企業が、前年よりも大幅に増えたことが理由です。かつて、4月が面接選考解禁であった時代には、「早慶クラス」と「その他私大」の内定保有率には30ポイント程度の開きがありました。大手企業の選考が落ち着くのを待って、遅れて選考を開始する中堅・中小企業が多かった時代だったからです。
次に内定者の就活継続意向を見てみると、文系の内定取得者の就活継続意向は前年と傾向が変わりませんでしたが、理系は内定取得者の86%が就活終了予定と答えています。
続いて、内定辞退の連絡の有無について聞きました。重複内定保有者のうち、辞退連絡が完了しているのは文系で6割、理系で8割。逆に言えば、残りの学生はまだ辞退を伝えていない企業があるようです。就活継続予定の学生では、今後新たに内定を取得する企業が出てきますので、内定辞退はさらに増えてきます。
再び企業側に目を向けて、6月末時点での内定充足率を調べたところ、内定充足率80%以上の企業は、大企業で54%、中堅企業で31%、中小企業で23%と、規模による差異が鮮明となりました。また、6月末時点での採用施策に関しては、選考活動を継続する企業が多く、既存のエントリー者だけでの選考で足りるとする企業は少なく、全体の50%の企業が「新たなエントリーを受け付ける」と回答しています。
トピックス――印象のよい説明会
ここで少し趣旨を変えて、学生の声をご紹介しましょう。印象のよかった説明会はどこか、文系と理系に分けてランキングを取りました。文系では、1位がみずほフィナンシャルグループ(48人)、2位が日本航空(38人)、同率で損害保険ジャパン日本興亜(38人)。理系では、1位がパナソニック(18人)、2位がライオン(16人)、3位が味の素(15人)という結果です。
1位の企業に対する具体的な感想としては、みずほフィナンシャルグループについては、「職種毎にブースが分かれており、テーマパークを回っているようでワクワクしたから」、「佐藤社長が登壇なさって直接お話を聞く機会を得られたから」、「社員の方の実際の体験談を聞くことができて、実際の業務のイメージができた」、「何度も行員の方のお話を聞く機会があり、自分がどんな仕事をするのか、どんな環境でどんな人と働くのかイメージしやすかった」、「さまざまなセミナーを用意してくれ、企業を理解できた」といった声が聞かれ、一方のパナソニックについては、「OGが沢山くる。実質のリクルーター面談になるが技術面談をしっかりと見てもらえ、大いに役に立った」、「先輩社員の方、OBの方のサポートが手厚かった」、「少人数に分かれての質疑応答だったので質問がしやすく、知りたい情報を得られたから」、「細かい事業部ごとに説明者があり、説明を詳しくしてくれるから」といった声が聞かれました。
トピックス――印象のよい面接官
続いて、印象のよかった面接官のいる会社について聞いたところ、文系では、1位が損害保険ジャパン日本興亜(28人)、2位がみずほフィナンシャルグループ(25人)、3位が三菱東京UFJ銀行(23人)。理系では、1位が野村総合研究所(11人)、2位が日立製作所(10人)、同率でパナソニック(10人)という結果です。損害保険ジャパン日本興亜については、「フィードバックをたくさんくださり、その後の面接にも活かせた」、「和やかな雰囲気で、普通の会話のような形で面接を進めてくれたから」、「最後まで話を聞き、引き出してくれ、緊張を解いてくれた」、「圧迫面接がなく、私の話に合わせて質問をしてくれたから。物腰が柔らかく、同じ目線で話を聞いてくださったので話しやすかった」といった声が聞かれ、一方の野村総合研究所については、「今後の学生生活でのアドバイスを受けることができた」、「時間を延長してでもたくさん聞いていただいた」、「私の話した内容に対する質問が上辺のものではなく、本質をついた質問であると感じたため」といった声が聞かれました。