2013年末に実施した採用担当者を対象とした2015年新卒採用動向調査の中から、今回は「説明会」「選考時期」をテーマにその結果を紹介する。

学内セミナーへの参加は10校以下が45%

「2015年新卒採用動向調査」結果報告【3】

2015年卒採用の最重点施策としてとらえられている学内企業セミナー。学内企業セミナーへの参加学校数を聞いてみたところ、全体では45%が「1~10校」、15%が「11~20校」と、「20校以下」で6割を占める結果となった。そもそも参加しない企業が29%と3割近くあることを考えると、学内企業セミナーに参加している企業の実に85%が「20校以下」の学校への参加にとどまっていることになる。参加学校数については、スケジュールやマンパワーの関係もあり、中にはもっと多くの学校に参加したかったもののかなわなかった例も少なくないであろう。
比較的マンパワーに余裕のある大手企業に限ってみてみると、「1~10校」27%、「11~20校」30%、「21~30校」15%、「31~50校」11%、「51校以上」が3%となっている。1校も参加しない企業は10%にとどまる。中には「101校以上」という企業もあった。

図表1:学内企業セミナーの参加数

学内企業セミナーの参加数を増やす企業が3割

「2015年新卒採用動向調査」結果報告【3】

学内企業セミナーへの参加数を前年比較で聞いてみたところ、「変わらない」が39%で最も多かったものの、「減らす」とする企業はわずか3%のみで、29%もの企業が「増やす」と回答。学内企業セミナーを重視する傾向は一層強まっている。
「増やす」との回答が最も多かったのは、「301~1000名」の中堅企業で、全体の38%におよぶ。中でもメーカーの中堅企業では40%と高くなっている。学内企業セミナーに参加する理系学生も年々増加傾向にあり、理系学生との重要な出会いの場として位置づけられている。

図表2:学内企業セミナー参加数の増減

就職ナビ等主催の合同企業セミナーに参加する企業が過半数

「2015年新卒採用動向調査」結果報告【3】

学内企業セミナーを除く、就職ナビ会社等が主催する合同企業セミナーへの参加状況はどうだろうか。「参加しない」企業は全体の45%にとどまり、過半数の企業は何回か参加するとしている。
企業規模別にみてみると、「参加しない」企業は大手企業25%、中堅企業38%、中小企業では56%と、企業規模が小さくなるにつれ、参加しない企業の割合が高くなっている。
参加回数別にみてみると、全体では「1回」10%、「2回」12%、「3回」10%、「4~6回」12%となり、「7回以上」は5%にとどまる。学生は、参加企業をじっくり確認してから、参加する合同企業セミナーを選ぶようにする必要がありそうだ。

図表3:合同企業セミナーの参加回数

学内企業セミナーと比べると「増やす」企業は少ない

「2015年新卒採用動向調査」結果報告【3】

合同企業セミナーへの参加数について前年比較で増減を聞いてみたところ、「減らす」とする企業が6%に対して「増やす」企業が16%と、「増やす」企業が上回っているものの、その差は13ポイントしかなく、先に見た26ポイントもの差があった学内企業セミナーと比べてみると、その勢いには差があることがわかる。ちなみに、「参加しない」企業の割合こそ違うものの、「増やす」企業と「減らす」企業の割合は、企業規模による差異はほとんど見られなかった。
なお、前項と「参加しない」企業の割合が異なるのは、前項で「参加しない」を選択した企業の中に、「変わらない」「減らす」を選択された企業があったため。

図表4:合同企業セミナー参加数の増減

合同企業セミナー、学内企業セミナーでの訴求ポイントは「仕事内容・事業内容・社風」

「2015年新卒採用動向調査」結果報告【3】

合同企業セミナーや学内企業セミナーで、特に力を入れて訴求するポイントを挙げてもらったところ、1位は「仕事内容」、2位は「事業内容」、3位は「社風」の順となった。
これらの項目は企業規模による差異は見られなかったものの、大手企業だけを見てみると、「グローバル」が28%で4位につけている。また、逆に「経営理念」や「商品・サービス」は、他の規模の企業よりも低い傾向がある。「理念」「サービス」による差別化よりも、規模による「安定性」などを訴求する傾向が強いようである。

図表5:合同企業セミナー・学内企業セミナーでの訴求ポイント

大手企業は1/4以上の企業が12月から企業セミナーをスタート

「2015年新卒採用動向調査」結果報告【3】

各企業が個別で開催する企業セミナーの開始時期を聞いてみたところ、大手企業では「12月」に26%が早くも個別企業セミナーをスタートし、後期試験が終了した「2月」には35%の企業がスタートする。大手企業で2月までにセミナーをスタートする企業は、実に77%に達する。全体で見ても2月までに66%と2/3の企業が個別セミナーをスタートさせている。

図表6:個別企業セミナーの開始時期

4月解禁前に面接選考をスタートする企業は5割

「2015年新卒採用動向調査」結果報告【3】

経団連の倫理憲章では4月1日以降とされている面接選考の開始日であるが、今回の調査では5割の企業が3月までに面接選考をスタートするとしている。大手企業だけを見ると、「4月」開始とする企業は38%と最多であるものの、「3月まで」に選考を開始するとする企業の割合は、他の企業規模とさほど変わらない。
大手企業の一部は、実際には3月までにリクルーターによる予備選考を進めるところもあり、今年も解禁とともに内定ラッシュとなることが予想される。
なお、WEBテスト等については、倫理憲章においても3月までに実施することを禁じてはいない。

図表7:面接選考の開始時期

【調査概要】

調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年12月17日~12月26日
有効回答:504社(1001名以上 84社, 301~1000名 1637社, 300名以下 257社)

  • 1