政府主導による現行の「就活ルール」において、2024年新卒採用の広報解禁となった2023年3月。企業の採用動向はどのような状態にあるのだろうか。また、新たなルールが適用される2025年卒学生向けのインターンシップには、企業の対応に変化は見られるのだろうか。
HR総研では、2023年3月に2024新卒採用動向を中心にその実態を明らかにするため、企業の動向調査を実施した。その調査の結果を以下に報告する。

<概要>
●2023年4月入社者の採用計画充足率「90%以上」が大企業で7割、中小企業では4割
●24卒採用計画数で文理ともに23卒より増加、理系を特に積極採用
●大企業の重点施策に「対面型インターンシップ」が最多
●大企業の4割近くで新卒採用予算の増加を予測、予算増加する施策とは?
●インターンシップの実施、中小企業でも増加傾向
●インターンシップの開催形式に変化、「オンラインのみ」の顕著な減少
●新卒採用に利用するサイト、大手就職ナビに続いて逆求人サイトが続く
●個別企業セミナー3月がピーク、大企業では前年10月以前から3割程度が開催
●24卒採用の選考面接、大企業では2月までに過半数が開始
●24卒採用の内定出し開始ピークは3月、さらなる早期化の兆し
●大企業で「特別処遇の提示」の導入が増加傾向
●25卒向けインターンシップの開催、対面形式の導入で「実務体験」が復活か
●産学協議会基準準拠マークを付与されたインターンシップ、大企業の3割で実施予定

2023年4月入社者の採用計画充足率「90%以上」が大企業で7割、中小企業では4割

まず、2023年新卒採用活動の結果を見てみる。
2023年3月時点における23卒内定者の充足率は、いずれの企業規模でも「100%以上」が最多になっていることが分かる。
企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では「100%以上」が38%、次いで「90~100%未満」が31%で、これらを合計した「90%以上」は69%と7割に上っている。301~1,000名の中堅企業では、「100%以上」の30%に次いで「90~100%未満」が26%で、「90%以上」は56%と6割近くに上っている。一方、300名以下の中小企業では、「100%以上」の30%と「90~100%未満」の11%を合わせた「90%以上」は43%と4割にとどまり、「0%」が20%にも上っており、中小企業における新卒採用の厳しさがうかがえる(図表1-1)。この結果から、内定充足率は従業員規模が大きいほど高いことが分かる。

【図表1-1】2023年4月入社の採用計画に対する現在の内定者充足率

HR総研:2024年新卒採用動向調査(3月) 結果報告

一方、2023年3月時点での内定辞退率については、「0%(辞退者ゼロ)」の割合を見ると従業員規模が小さいほど高い傾向が見られている。「0%(辞退者ゼロ)」の割合は、大企業では4%、中堅企業で28%、中小企業で42%と顕著な差異が見られ、特に中小企業において効率的な新卒採用ができていることがうかがえる。ただし、「20%未満」と合わせた「0~20%未満」の割合で比較すると、大企業で51%、中堅企業で56%、中小企業で57%といずれの企業規模でも過半数に上り、従業員規模による大きな差異は見られていない(図表1-2)。

【図表1-2】2023年新卒内定者の内定辞退率(2023年3月時点)

HR総研:2024年新卒採用動向調査(3月) 結果報告

24卒採用計画数で文理ともに23卒より増加、理系を特に積極採用

24卒採用動向を見ていく。まず、24卒採用計画数については、文系・理系別に23卒入社予定者数と比較すると、大企業では文系・理系ともに「前年並み」が最多で文系47%、理系36%となっている。また、「増やす」と「減らす/採用なし」(「減らす」と「採用なし」の合計、以下同じ)の割合を比較すると、「増やす」は文系22%、理系31%で理系の方が9ポイント高く理系採用に積極的な企業が多いことがうかがえる。一方、「減らす/採用なし」は文系4%、理系6%となっておりいずれも1割未満にとどまっている。したがって、文系・理系ともに「増やす」が「減らす/採用なし」を顕著に上回っており、23卒採用時より積極的な採用活動をする企業が増加することが見込まれる。
同様に中堅企業でも「前年並み」が最多で、文系38%、理系36%で同程度となっている。「増やす」の割合は、文系で9%に対して理系では28%と19ポイントも上回っており、文系より理系学生の採用に積極的な企業が多いことがうかがえる。また、「減らす/採用なし」の割合は文系で19%、理系で6%となっており、文系の方が理系より13ポイント高くなっている。中堅企業において、文系では「増やす」より「減らす/採用なし」の割合が高くなる一方、理系では「減らす/採用なし」より「増やす」の割合が高くなり、文系と理系で傾向が異なることが分かる。
中小企業では、「増やす」の割合は文系で13%に対して理系では24%と11ポイント上回っており、でも大企業や中堅企業と同様に、文系より理系学生の採用に積極的な企業が多いことがうかがえる。また、「減らす/採用なし」の割合は文系で15%、理系で8%となっており、文系の方が理系より7ポイント高くなっている。(図表2)。

【図表2】24卒採用計画数の23卒入社者数に対する増減(大卒に限る)

HR総研:2024年新卒採用動向調査(3月) 結果報告

大企業の重点施策に「対面型インターンシップ」が最多

24卒採用でより重要になると思う施策については、割合の差はあるものの、いずれの企業規模でも「自社セミナー・説明会」、「対面型インターンシップ」、「自社採用ホームページ」が上位3項目に挙がっており、自社をより良く知ってもらうとともに学生との相性も見極めやすくしたい狙いがうかがえる。
企業規模別に見ると、大企業では「自社セミナー・説明会」と「対面型インターンシップ」がともに最多で33%、次いで「自社採用ホームページ」が31%で、いずれも3割超となっている。中堅企業では「自社セミナー・説明会」が最多で47%、次いで「自社採用ホームページ」が45%、「対面型インターンシップ」が28%などとなっており、上位2項目は半数近くにも上っている。中小企業では「自社採用ホームページ」が最多で34%、次いで「自社セミナー・説明会」が33%、「対面型インターンシップ」が20%などとなっている。「対面型インターンシップ」については、従業員規模が大きいほど重視する割合が高くなる傾向が顕著となっている(図表3)。

【図表3】24卒採用でより重要になると思う施策

HR総研:2024年新卒採用動向調査(3月) 結果報告

大企業の4割近くで新卒採用予算の増加を予測、予算増加する施策とは?

24卒採用活動に関する総予算については、23卒採用時と比較して、「ほぼ変わらない」がいずれの従業員規模でも最も多く6~7割程度となっている。ただし、「増える派」(「かなり増える見込み(20%以上)」と「やや増える見込み(20%未満)」の合計)と「減る派」(「かなり減る見込み(20%以上)」と「やや減る見込み(20%未満)」の合計)の割合を比較すると、いずれの従業員規模でも「増える派」の方が顕著に高いことが分かる。
特に大企業では、「増える派」は36%で「減る派」は0%と36ポイント差も付いており、中堅企業では「増える派」は21%で「減る派」は12%と9ポイント差、中小企業では「増える派」は25%で「減る派」は1%と24ポイント差となっている(図表4-1)。
新卒採用の予算が増加する傾向が顕著に見られることが分かったが、予算が増加する見込みのある施策は一体何なのだろうか。

【図表4-1】24卒採用活動に関する総予算の前年比較

HR総研:2024年新卒採用動向調査(3月) 結果報告

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】2024年新卒採用動向調査(3月)        
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2023年3月6~21日
調査方法:WEBアンケート
調査対象: 企業の人事責任者・新卒採用ご担当者様
有効回答:222件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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