適性検査対策にどう対応するか
採用シーンで多くの企業が導入する適性検査。適性検査に関する課題は企業によって千差万別。
・判定結果での優劣が分かりにくい。
・替え玉受験を考えると応募者の自宅受験の実施は難しいため、選考段階で一手間増えてしまう。
・色々な検査があり、何が特徴が再度検討する必要がある。
・結果を分析する力のない検査官が多い。
・現行の適性検査ではストレス耐性、メンタルヘルス診断ができない。
・評価基準が定まっていない。
・検査結果の活用方法の確立が難しい。
・適性検査の結果と面接のマッチング。
・対策を徹底してやってくる候補者と本当に地頭の良い候補者の区別ができない。
・入社後の活躍度合との相関があるかどうか確信が持てない。
・面接の印象と比較して、マッチしていない結果が出てくることが
多々ある。
大企業の12%は「3000人以上」が受検
別調査で適性検査の実施タイミングは「1次面接前」が最も多かったが、では受検者数は年間何名くらいになるのであろうか。
適性検査の実施タイミングがいつなのか、採用人数の多寡によって大きく異なってくるはずである。企業規模別にみてみると、大企業では45%の企業が「300名以上」であり、「3000名以上」という企業も12%に上る。一方、中小企業では44%が「30名未満」であり、「100名以上」は20%に過ぎない。
図表1:年間の適性検査受検者数
大企業の10%は「1000万円以上」の予算
一般的には受検者数に応じての従量制の料金体系が一般的ではあるが、WEB方式での受検の場合には大量受検企業向けに受検者数を問わない「固定料金制(使い放題コース)」を採るケースもあるようである。従来の用紙による受検の場合には、採点コストや搬送コストが発生するが、WEBの場合にはそのようなコストは発生しないため、ボリュームディスカウントや固定料金制を採ることも可能になるというわけだ。
大企業の場合には、「1000万円以上」が10%、うち半分の5%は年間予算が適性検査だけで「3000~5000万円」になるという。適性検査を複数活用することも珍しくなく、固定料金制が可能な検査は1次面接前などの早期に実施し、完全従量制の検査は選考が進み、受験者数が絞られた段階で実施するなど、コストを抑えるためには使い分ける必要がありそうである。
ちなみに、受検者数の少ない中小企業の場合には、約6割が年間予算20万円未満に収まっているとのこと。
図表2:年間の適性検査予算
採用数の増加を見込んで大企業の2割以上が予算増
2015年新卒採用における適性検査にかける予算を聞いたところ、どの企業規模でも「ほぼ変わらない」が最も多いが、「(前年よりも)減る」企業はわずかで、「(前年よりも)増える」企業が上回る形となっている。大企業では22%の企業が「増える」としている。
採用数の増加もあるが、適性検査の入れ替えや追加などを予定している例もあるだろう。最近では、後述する「ストレス診断」を従来の検査に追加して実施する企業が増えているようである。
図表3:2015年新卒採用における適性検査予算の対前年比
圧倒的に利用されている「性格・気質検査」
様々なタイプがある適性検査であるが、分類して最も使用されているのは「性格・気質検査」で、実に73%に上る。「SPI3」もこちらに分類される。
「適職診断」44%、「行動特性診断」32%、「ストレス・メンタルヘルス診断」32%と続き、「コンピテンシー診断」は16%、「感情能力診断(EQ)」は2%と他よりも少し引き離されている。「ストレス・メンタルヘルス診断」は年々、着実に実施率が高まってきている。
図表4:使用している適性検査の種類
導入余地の大きい「ストレス・メンタルヘルス診断」
今後新たに導入したい適性検査を訊いたところ、圧倒的な支持を集めたのが「ストレス・メンタルヘルス診断」である。なんと63%の企業が選択している。現在の使用率である32%と合わせれば、95%の企業が関心を寄せていることになり、現在使用率でトップの「性格・気質検査」(合計93%)をも上回ることになる。
図表5:今後導入したい適性検査の種類
他の検査の多くが知能検査とのセットになっているのに対して、「ストレス・メンタルヘルス診断」はそれだけで受検できるタイプも何種類か発売されており、これまで使用していた検査を替えることなく、追加での受検が可能になっていることも普及に拍車をかけていると言える。
図表6:現在使用中と今後導入したい適性検査の合計
「価格」を上回る「診断内容」
サービスの選定基準では、他のジャンルのサービスのほとんどで「価格」がトップだったのに対して、適性検査では「診断内容」が71%で「価格」の67%をわずかではあるが上回る結果となった。「診断内容」と合わせて、「結果の見やすさ」も59%と上位に入ってきている。検査提供会社の担当から詳しい説明を受けた人事担当者だけでなく、1次面接に協力することの多い現場の社員や、最終面接に立ち会う役員など、何の説明も受けていなくても診断結果シートの内容を読み込むことができるようなわかりやすいユーザインターフェイスが求められている。
図表7:適性検査導入時の選定基準
【調査概要】
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年10月28日~11月6日
有効回答:305社
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