インターンシップ参加学生数は2012年卒並みに盛り返す
前年の倫理憲章改定により、インターンシップは「5日間以上」と定義されたことから、それまで大手企業で開催されていた大量の学生を動員する「1DAYインターンシップ」は影を潜めた。その結果、2012卒では文系47%、理系で45%あったインターンシップ参加学生の割合は、2013年卒では文系、理系ともに33%にまで落ち込んだ。
ところが、インターンシップ実施企業の増加、受け容れ学生数の増加などにより、2014年卒では一転して参加学生割合が回復した。文系47%、理系41%とほぼ2012年卒と肩を並べる結果となった。2013年卒採用において、インターンシップが採用活動に好影響をもたらしたとする企業の考えによるものである。
図表1:インターンシップ参加学生割合(2年比較)
図表2は、企業のインターンシップ実施状況を聞いたものだ。2013年卒採用では、インターンシップ実施企業は前年からの継続、新規実施を合わせて27%であったが、2014年卒採用では合わせて33%に増加している。
図表2:2014年卒採用に向けてのインターンシップ実施状況
1、2週間のインターンシップが主流ながら、大手では1カ月以上の長期型も
実施されたインターンシップのタイプを見てみよう。全体で最も多いのは「1週間程度のインターンシップ」(39%)、次いで「2週間程度のインターンシップ」(33%)と、経団連の改定倫理憲章の方針に沿ったタイプが主流となっている。単位認定がされることが多い大学を経由したインターンシップの多くは、2週間以上を条件にされていることも影響しているのであろう。
大手企業では少なくなった「1日程度のインターンシップ」だが、中堅企業では20%が実施している。「半日」や「2~3日」を合わせると、大手企業で36%、中堅企業で37%、中小企業では42%に上る。このあたりが学生の受け入れ人数の増加に大きく寄与していそうだ。
一方、大手企業では「1ヶ月以上のインターンシップ」を実施する企業が21%もあり、インターンシップとひとくくりにするものの、その内容は千差万別である。
図表3:実施したインターンシップのタイプ
選考と一切関係のないインターンシップは4割しかない
「選考直結型」をはっきりと謳うインターンシップはまだ少ないものの、実は、「明示していないが選考と関係があるインターンシップ」や、「結果として応募者が採用に結びつく割合が高いインターンシップ」は意外と多いことが分かった。全体では両タイプを合わせると53%、大手企業に限って言えば実に57%に達する。
「選考とは一切関係がない」とするインターンシップは、全体で42%、大手企業では36%しかないことになる。インターンシップは、学生のキャリア支援というよりも、もはや採用活動の重要な一部と言わざるを得ない。
図表4:インターンシップと選考の関係
上位校ほどインターンシップ先からの内定が多い
インターンシップと選考の関係を、学生のインターンシップ先での内定取得状況で見てみよう。図表5は文系、図表6は理系のデータである。
文系では、「旧帝大クラス」~「上位私大クラス」は7~8%と高いのに対して、その他のグループでは2~3%に止まっている。明らかに大学グループによる差異が見られる。
もっと極端なのが理系だ。「早慶クラス」では19%、「上位私大クラス」でも14%がインターンシップ先で内定を取得している。「旧帝大クラス」(9%)と「上位国公立大クラス」(8%)も高い数値となっており、その他のグループは3~4%に止まっている。
図表5:インターンシップ参加企業からの内定取得の有無(文系)
図表6:インターンシップ参加企業からの内定取得の有無(理系)
選考直結型を歓迎する学生
選考直結を明示しないまでも、多くのインターンシップが結果として選考と関係していることを見てきた。では、学生は選考直結型インターンシップをどう見ているのだろうか。
選考直結をはっきり謳うインターンシップへの参加意向を聞いてみた。文系の77%、理系の75%がそのようなインターンシップに「参加したい」と回答しており、「参加したくない」と否定的な学生は文系で4%、理系で5%と極めて少数派となっている。企業はもっと選考と関係があることを明示してもよさそうである。ただ、倫理憲章上は採用と関係するインターンシップは選考解禁の4月以降とされており、大手企業で明示することはまだ難しそうではあるのだが・・・。
図表7:選考直結型インターンシップへの参加意向
2015年卒採用ではさらにインターンシップ重視の方向
2015年卒採用に向けて、インターンシップの実施予定を聞いてみた。「未定」との回答が多いものの、前回調査時点と比較するとインターンシップ実施予定の割合は、2014年卒23%→15年卒29%と大きく伸びている。2015年卒採用では、さらにインターンシップが重要な施策ととらえられている。先に発表された政府主導による2016年卒の採用スケジュールでは、インターンシップによる学生との早期接触機会がさらに重要と考える企業が多い。16年卒採用を視野に入れた実験的取り組みとして、15年卒採用におけるインターンシップを考える企業も少なくないだろう。
※2015年卒採用に向けたインターンシップについては、別途調査を実施予定。
図表8:2015年卒採用に向けてのインターンシップ実施予定
【調査概要】
■採用担当者(12月)
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2012年12月14日~12月27日
有効回答:511社(1001名以上 84社, 301~1000名 182社, 300名以下 245社)
■採用担当者(4月)
調査主体:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の人事担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年4月19日~5月1日
有効回答:436社(1001名以上 86社, 301~1000名 147社, 300名以下 203社)
■学生(12月)
調査主体:楽天『みんなの就職活動日記』
調査企画:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:2014年卒業予定の大学生、大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2012年12月17日~12月28日
有効回答:1149名(文系749名、理系400名)
■学生(4月)
調査主体:楽天「みんなの就職活動日記」
調査企画:HR総合調査研究所(HRプロ株式会社)
調査対象:就職活動中の大学生、大学院生
調査方法:webアンケート
調査期間:2013年4月22日~5月1日
有効回答:2,678名(文系1,527名、理系1,151名)
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