HR総研は、2023年新卒採用の中間総括と2024年新卒採用の予定について、動向調査を実施した。採用スケジュールや重視した採用手法、進捗など、様々な項目に関する調査結果について、フリーコメントを含めて以下に報告する。
<概要>
●「就活ナビ」が最多、大企業では「逆求人サイト」も重視
●新卒採用ターゲット層が変化している割合、すべての企業規模で増加傾向
●ターゲット層の採用に効果的な施策は「インターンシップ」、「キャリアセンター訪問」、「逆求人サイト」
●大企業の7割が「個別採用に取り組んだ」、中小企業では4割が「個別採用に注力した」
●大企業と中堅企業の3割、「1月」までに面接開始
●最終面接は「対面形式のみ」で実施する企業が増加
●理系学生の方が文系より内定出しをやや前倒しの傾向
●内定者に占めるインターンシップ参加者の割合、大企業では「40%以上」が4割
●23卒採用活動、「6月までに終了」は大企業の4割。中堅企業でも「9月までに終了」が7割
●24卒向けインターンシップ、中小企業で顕著に増加の見込み
●面接開始の予定時期、「1月までに開始」大企業で半数近く
●内定出し(内々定出し)開始、大企業の2割で「前年より1ヶ月程度以上の早期化」の見込み
「就活ナビ」が最多、大企業では「逆求人サイト」も重視
2023年新卒採用で重視した施策について、すべての企業規模で「就職ナビ」が最多で、従業員数1,001名以上の大企業では48%、301~1,000名の中堅企業では43%、300名以下の中小企業では35%となっている。大企業では「就職ナビ」とともに「自社採用ホームページ」も最多で48%、次いで「自社セミナ―・説明会」が42%などとなっている。また、「逆求人(オファー型)サイト」は他の企業規模より大企業で顕著に割合が高く19%となっている(図表1-1)。
【図表1-1】企業規模別 2023年新卒採用で重視した施策
重視した施策で最多となっている「就職ナビ」について、具体的に「利用している就職ナビ」を見てみると、「マイナビ」が最多で47%、次いで「リクナビ」が40%、「OfferBox」が12%などとなっており、これら上位3サービスの並びは22卒調査の結果と同様となっている(図表1-2)。
また、「利用している就職ナビ上位7サービスの満足率」については、最も満足率(満足社数/利用社数)が高いのは「リクナビ」で75%、次いで「マイナビ」が73%、「キャリタス就活」が52%などとなっている(図表1-3)。
【図表1-2】利用している就職ナビ
【図表1-3】利用している就職ナビ上位7サービスの満足率
新卒採用ターゲット層が変化している割合、すべての企業規模で増加傾向
次に、「過去数年における新卒採用のターゲット層の変化」については、すべての企業規模で2022卒より2023卒の方が「変化してきている派」(「変化してきている」と「やや変化してきている」の合計)の割合が増加傾向にある。2023卒の「変化してきている派」の割合は、大企業では48%と半数近く、中堅企業では36%、中小企業では34%となり、少なくとも3割以上の企業で新卒採用のターゲット層の変化が見られている。これらの割合はこの数年で最も高く、背景には、不安定な社会情勢や企業における事業方針の変化、新卒採用に対する考え方などがあることが推測される(図表2-1)。
【図表2-1】企業規模別 新卒採用 過去数年におけるターゲット層の変化
「変化してきている派」の企業に対して「ターゲット層の変化の要因」を聞いて見ると、大企業では「事業変革に伴う人材要件の変更」が最多で55%、次いで「入社後のミスマッチ防止対策」が40%、「DX推進等による理系人材のニーズ増加」が23%などとなっている。中堅・中小企業では「入社後のミスマッチ防止対策」が最多で、それぞれ50%、36%などとなっている。特に大企業で、事業変革やDX推進など、経営方針に関わる変化が要因となる割合が高い傾向にある(図表2-2)。
【図表2-2】企業規模別 新卒採用ターゲット層の変化の要因
ターゲット層の採用に効果的な施策は「インターンシップ」、「キャリアセンター訪問」、「逆求人サイト」
「ターゲット層を採用するために最も効果的だった施策」については、すべての企業規模で「インターンシップの活用」が最多で、大企業では23%、中堅企業では33%、中小企業では21%などとなっている。大企業では「キャリアセンター訪問」「逆求人サイト」「リファラル採用」が同率2位で12%となっており、ダイレクトソーシングの活用に効果を感じていることがうかがえる。
中堅企業では 「キャリアセンター訪問」と「大学主催の学内セミナー」がともに2位で14%となっており、大学との連携強化に効果を感じる傾向となっている(図表3)。
【図表3】企業規模別 ターゲット層を採用するために最も効果的だった施策
大企業の7割が「個別採用に取り組んだ」、中小企業では4割が「個別採用に注力した」
インターンシップ経由でのオファーやダイレクトソーシングを活用したオファーなどの「個別採用」と従来型の「マス型採用」への取組みバランスを見ると、全体では「マス型採用に注力した」が最多で34%、次いで「個別採用に注力した」が30%となり、両方に割れていることが分かる。少なくとも「個別採用に取り組んだ」(「マス型採用に注力した」以外)企業は、大企業で73%と7割程度、中堅企業で51%、中小企業で72%となり、大企業が最も高くなっている。ただし、中小企業では「個別採用に注力した」が43%で他の企業規模より顕著に高くなっている(図表4-1)。
また、個別採用の一部である「ダイレクトソーシングへの取り組み状況」を見ると、大企業では「逆求人サイトの活用」が最多で37%、次いで「社員からの紹介」が26%、「内定者からの紹介」が17%などとリファラル採用にも取り組む企業が多いことがうかがえる。また、中堅企業では「社員からの紹介」が最多で44%となる一方、中小企業では「ダイレクトソーシングを活用しなかった」が最多で46%と半数近くに上っている(図表4-2)。
【図表4-1】企業規模別 マス型採用と個別採用への取り組み状況
【図表4-2】企業規模別 ダイレクトソーシングへの取り組み状況
大企業と中堅企業の3割、「1月」までに面接開始
ここからは、説明会、面接、内定出し(内々定出し)について見ていく。
まず、「自社セミナー・説明会の開催時期」を開催形式別に見てみると、対面形式・オンライン形式ともに「3月」に急激に増加し最多となっており、それぞれ32%、53%となっている。政府からの要請による就活ルールで新卒採用の広報解禁となる3月を意識して、自社セミナーを開催する企業が多いことが背景にあるだろう。また、オンライン形式では「2~5月」で3割以上の企業が開催している(図表5-1)。
【図表5-1】 開催形式別 自社セミナー・説明会 開催時期
採用選考の面接の開始時期については、大企業では「1月」が最多で21%となり、この時期までに開始している割合は33%と3割を超えている。中堅企業でも「1月」が「2月」とともに最多で13%、1月までに開始している企業の割合は30%で、大企業と同様に3割となっている。中小企業では「8月以降」が最多で26%となり、大企業や中堅企業より遅れて面接を開始する傾向は例年同様となっている(図表5-2)。
【図表5-2】企業規模別 採用選考の面接 開始時期
最終面接は「対面形式のみ」で実施する企業が増加
「選考面接の実施形式」を見てみる。
最終面接以外の場合は、すべての企業規模で「オンライン形式、対面形式の併用」が最多で、大企業では56%、中堅企業では60%、中小企業では40%となっている(図表6-1)。
それに対して、最終面接の場合は、「対面形式のみ」が最終面接以外の場合に比べて顕著に増加し、大企業では29%、中堅企業では51%、中小企業に至っては67%と7割近くにまで上っている。やはり、オンラインを効果的に活用しながらも、最終的な判断はリアルに学生と会ってから、という企業の意向がうかがえる。逆に「オンライン形式のみ」は2割以下にとどまっている(図表6-2)。
【図表6-1】企業規模別 最終面接以外の実施形式
【図表6-2】企業規模別 最終面接の実施形式
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【調査概要】
アンケート名称:【HR総研】2023年&2024年新卒採用動向調査(6月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2022年6月6~17日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:221件
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Eメール:souken@hrpro.co.jp
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