オンライン採用が主流として定着するなど、コロナ禍以前とは大きく異なる様相の新卒採用活動。2023年新卒採用活動では、現時点においてどのような特徴が見られているのだろうか。
HR総研では、2021年12月に各企業における2023年新卒採用活動に関する取組みや課題、採用手法の特徴等に関するアンケートを実施し、その結果について、フリーコメントを含めて以下に報告する。

<概要>
●22卒採用計画充足率「90%以上」は大企業7割、中小企業3割
●22卒の苦労は「ターゲット層集め」が最多で4割
●22卒採用、「マス型採用に注力」は大企業の2割未満
●23卒採用計画「前年並み」が最多、中小企業は慎重姿勢
●23卒採用の課題は「ターゲット層の応募者集め」と「内定者辞退の減少」
●ターゲット層獲得に「インターンシップ活用」が最多、大企業でも「個別採用」が拡大
●インターンシップ10~12月で実施率が低下、オンライン化で変化するか
●インターンシップもオンライン化が進む一方、「実務体験」は対面型に偏る

22卒採用計画充足率「90%以上」大企業7割、中小企業3割

まず、2022年卒採用活動の状況から見てみる。
2021年12月時点における「2022年卒採用計画の充足率」を企業規模別に見ると、従業員数1,001名以上の大企業では、「100%以上」が最多で42%、次いで「90~100%未満」が31%となり、これらを合計すると「90%以上」は73%と7割以上となっている。301~1,000名の中堅企業でも「100%以上」が最多で32%、「90%以上」は55%と過半数を占めている。300名以下の中小企業では、「2022年卒は採用活動をしていない」が最多で36%、「100%以上」は22%、「90%以上」は33%となり、大企業や中堅企業より控えめな採用活動の状況であることがうかがえる(図表1-1)。
また、2021年12月時点において「2022年卒採用を終了した割合」は、企業規模に関わりなく6割程度となっており、4割近くが年明け以降も継続している(図表1-2)。

【図表1-1】企業規模別 2022年卒採用計画の充足率

HR総研:2022年&2023年新卒採用動向調査 結果報告1

【図表1-2】企業規模別 2022年卒採用を終了した割合

HR総研:2022年&2023年新卒採用動向調査 結果報告1

12月までに2022年卒採用を終了した企業について、活動を終了した時期を見ると、大企業では「2021年6月」が最も多く32%となり、「2021年9月」までに終了した割合は73%で7割を超えている。中堅企業では「2021年5月」から増え始め、「2021年8月」が最多で22%となり、「2021年9月」までに終了した企業の割合は67%で7割近くを占めている。中小企業では、僅かではあるが早いところでは「2020年12月以前」から終了企業が出ており、「2021年6月」から増え始め、「2021年9月」でピークを迎え21%となり、「2021年9月」までには、大企業や中堅企業と大差なく69%と7割程度の企業が終了している(図表1-3)。

【図表1-3】企業規模別 2022年卒採用を終了した時期

HR総研:2022年&2023年新卒採用動向調査 結果報告1

22卒の苦労は「ターゲット層集め」が最多で4割

「2022年卒採用を実施して苦労したこと」については、「ターゲット層の応募者を集める」が最多で42%、次いで「応募者の数を集める」が40%、「内定者フォロー」が28%などとなっている(図表2-1)。1位と2位の項目は僅差ではあるものの、ただ応募者を数多く集めるのではなく、自社のターゲット層を強く意識した応募者を集めることに注力し、内定を出した後は内定辞退を防止するためのフォローに苦労を感じている企業が多いことがうかがえる。また、2020年10月に調査した「2021卒採用時で苦労したこと」では、「オンライン面接」や「オンライン説明会」、「採用スケジュール遅延」が上位に挙がっていたが今回は上位にはなく、コロナ禍2年目となった採用活動で、これらにしっかりと対応できた企業が多かったことがうかがえる。

【図表2】2022年卒採用で苦労したこと

HR総研:2022年&2023年新卒採用動向調査 結果報告1

22卒採用、「マス型採用に注力」は大企業の2割未満

ターゲット層の学生を集めるために効果があると言われる1対1の採用手法「個別採用」と従来型の「マス型採用」について、注力する比重を見てみると、大企業では、「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組んだ」が圧倒的に多く56%となっている。「個別採用に注力した」は12%と中堅・中小企業より少ないものの、「少なくとも個別採用に取り組んだ」(「マス型採用に注力した」以外、以降同じ)の企業は85%と8割以上に上っていて、採用計画数の多い大企業でも、個別採用の効果が広く認知されてきていることがうかがえる(図表3)。中堅企業では「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組んだ」が最多で43%、次いで「マス型採用に注力した」が24%などとなっている。「少なくとも個別採用に取り組んだ」が76%と8割近くになっている。中小企業では、「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組んだ」が最多で30%であるものの、1ポイント差で「個別採用に注力した」が29%で、「個別採用を主軸にマス型採用にも取り組んだ」は16%と、これら2つを合わせると45%に上っており、大企業・中堅企業より個別採用を重視する企業の割合が高いことがうかがえる。

【図表3】企業規模別 2022年卒採用における「マス型採用」と「個別採用」の比重

HR総研:2022年&2023年新卒採用動向調査 結果報告1

23卒採用計画「前年並み」が最多、中小企業は慎重姿勢

ここからは、2023年新卒採用動向について見てみる。
まず、「2023年4月入社の大卒(大学院含む)採用計画数」を見ると、いずれの企業でも最も多いのは「前年並み」で、大企業では67%、中堅企業では60%で、ともに6割を超えている一方、中小企業では33%と3割程度にとどまっている。「増やす」と「減らす/採用なし」(「減らす」と「採用なし」の合計、以降同じ)のバランスを見ると、大企業では「増やす」が14%に対し「減らす/採用なし」は9%で、やや「増やす」が多い傾向となっている。中堅企業では「増やす」が13%に対し「減らす/採用なし」は15%とほぼ同等となっている。一方、中小企業では、「増やす」が12%に対し、「減らす/採用なし」は33%と顕著に多く、中でも「採用なし」が26%と4分の1を超えており、中小企業は、22卒採用に続いて23卒採用においても、大企業や中堅企業より新卒採用に対して慎重な姿勢であることが推測される(図表4)。
なお、22卒の採用活動を「中断した」もしくは「採用活動をしていない」とした中小企業の37%(図表1-1を参照)のうち、「増やす」は僅か8%にとどまっており、23卒で新卒採用を再開する中小企業は僅かであることがうかがえる。

【図表4】企業規模別 2023年4月入社の大卒(大学院含む)採用計画数

HR総研:2022年&2023年新卒採用動向調査 結果報告1

23卒採用の課題は「ターゲット層の応募者集め」と「内定者辞退の減少」

次に、「2023年卒採用における自社の課題」について本調査とHR総研による2022年卒採用動向調査(2020年10月調査)の回答を比較すると、どちらも「ターゲット層の応募者を集めたい」が顕著に高いものの、特に23卒が54%と過半数となり、22卒の45%を9ポイント増加している(図表5)。これに次ぐ23卒採用の課題は「内定辞退者を減らしたい」で27%となり、22卒の23%より4ポイント増加している。一方、「オンライン・WEB化対応を進めたい」は22卒の18%に対して23卒では5%まで下がっており、この要因としては、多くの企業で必要なオンライン・WEB化対応は概ね完了しており、課題解決していることがうかがえる。ただし、採用活動のオンライン化が進んだことで、採用活動における応募者である学生とのコミュニケーションが希薄化する傾向にある。それにより、学生に対する企業のグリップ力が弱まり内定辞退されやすい状況となり、企業の内定辞退防止に対する課題感が強くなっていると推測される。

【図表5】2023年卒採用における自社の課題(23卒と22卒を比較)

HR総研:2022年&2023年新卒採用動向調査 結果報告1

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】2022年&2023年新卒採用動向調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2021年12月15~21日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:2022年卒採用活動を実施された企業の人事責任者、新卒採用担当者
有効回答:184件

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