HR総研(ProFuture株式会社)と理系学生向け就活サービス「LabBase」(株式会社POL)は、今年7月に、2022年修了予定の理系院生を対象に、「2022年修了理系院生の就職活動動向調査」を実施した。
企業において理系人材の需要が高まる中、特に専門性の高い知識やスキルを身に付けている理系院生は、どのような就職活動を行っているのだろうか。
理系院生の就職活動の動向や志望する職業などについて、以下に、フリーコメントを含めて調査結果を報告する。

<概要>
●理系院生の9割が7月時点で就職活動を終了
●最も人気の職種は「研究開発職」で半数近く
●理系院生のインターンシップ参加社数「4社」以上が6割近く
●魅力的なインターンシップ「実務体験」が最多、オンライン見学会も
●理系院生が情報収集で利用する手段に「逆求人型就職サイト」が過半数
●理系院生の過半数は「修士1年12~3月」で第一志望を決める
●理系院生のアピール項目上位に「論理的思考力」「専攻学問の専門知識」
●面接に進むまでに経たルートに「就職サイトを通じた企業からのアプローチ」が3割、推薦応募より高く
●内定先企業からの連絡は「1ヶ月に1回ほど以上の頻度」が8割以上
●入社の決め手、「事業内容」「専攻・スキルが活かせる仕事」が上位に
●入社企業を志望し始めたタイミング「就職活動を始めてから」が8割近く
●理系院生の8割近くが専門性を活かして就職

理系院生の9割が7月時点で就職活動を終了

まず、本調査への回答者の専攻分野を以下に示す。
「化学」が最多で22%、次いで「情報」が17%、「生物・農」が15%などとなっている(図表1-1)。
また、理系院生の就職活動の状況を見ると、89%と9割が「就職活動を終了した」としており、7月時点で就職活動を続ける理系院生は僅か9%となっている(図表1-2)。

【図表1-1】回答者の専攻分野

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

【図表1-2】就職活動の状況(2021年7月時点)

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

最も人気の職種は「研究開発職」で半数近く

これら回答者が志望する職種の上位20項目を見ると、「研究開発職」が最も多く47%、次いで「システムエンジニア」が22%、「設計・開発職」が20%などとなっている(図表2)。
「研究開発職」では、企業が募集要項で院卒生に限るケースが多く見られ、21卒生と同様に、院卒生の志望職種の特徴となっていることがうかがえる。

【図表2】志望する職種 上位20項目

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

理系院生のインターンシップ参加社数「4社」以上が6割近く

ンターンシップに参加した社数について、本調査における理系院生の回答結果と、HR総研と「楽天みん就」が今年3月に実施した共同調査における就活生全体の回答結果(以下同じ)を比較すると、理系院生では「0社」は12%と1割程度で、「4社」以上の割合が57%と6割近くに上っている。一方、就活生全体では「0社」は19%と2割程度、「4社」以上の割合は48%となっており、理系院生の方がインターンシップに参加した社数がやや多い傾向にある(図表3-1)。
参加した理系院生の中で、「オンライン形式のインターンシップ」に参加した割合は93%で、ほとんどの学生がオンライン形式でのインターンシップを経験していることが分かる(図表3-2)。

【図表3-1】インターンシップへの参加社数(就活生全体との比較)

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

【図表3-2】オンライン形式のインターンシップへの参加有無

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

魅力的なインターンシップ「実務体験」が最多、オンライン見学会も

インターンシップに参加した時期については、「修士1年9月」が最多で59%、次いで「修士1年8月」が57%となり、8・9月の大学の夏期休暇期間を利用して、6割近くの理系院生が参加していることが分かる。また、その後の10月以降も3月まで4割以上の参加率を保っており、就活生全体と同様に、オンラインでの参加によって授業のある期間でもインターンシップに参加しやすくなっていることがうかがえる(図表4-1)。学生の声として、「自宅や研究室から参加ができるようになったことが良い」という意見が多く聞かれる。
なお、就活生全体では、12月・1月は9月を上回る参加率となっていたが、今回の理系院生だけで見ると、12月~1月は9月よりも10ポイント前後も下回っている。理系院生の8月・9月の参加率は、就活生全体よりも10ポイント以上高く、理系院生のインターンシップへの参加時期が、就活生全体よりもかなり前倒しになっていることが分かる。
また、「魅力的なインターンシップのプログラム」としては、「実務体験」が75%で最も多く、次いで「社員との交流」が65%、「会社/現場見学」が54%などとなっている。これらは、対面型で実施する企業もあるが、企業側の工夫によりオンライン形式でもバーチャルでの会社見学や実務体験を実現している企業も少なくないようである(図表4-2)。

【図表4-1】インターンシップへの参加時期

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

【図表4-2】魅力的なインターンシップのプログラム

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

さらに、「ユニークだと感じたインターンシップの内容」について、フリーコメントで書いてもらったところ、図表4-3に示すようなものが多く挙げられた。

【図表4-3】ユニークだと感じたインターンシップの内容(一部抜粋)

ユニークだと感じたインターンシップの内容専攻分野性別
推理をして論理的思考力を鍛えるインターンシップがあった物理・数学男性
大人数で自動車を作るシミュレーションをするインターン物理・数学男性
オンライン工場見学電気・電子男性
海外の向上で、駐在職員とともに活動したこと。休日に何をしているのかは体験してみるまで分からなかった。学部の時に対面で行った電気・電子男性
アプリ形式でいつでも受講できるインターンシップ生物・農男性
将来なりたい社会人像を、グループで一つ考えるワーク。みんなで一つの像を作るために、何を軸にすればみんなが納得いくのか考えた。チームで意見を調整しながら、ビジョンを共有するというイメージが明確になった生物・農女性
コロナ渦ではあったが、感染対策をした中で、対面のインターンシップを実施した点。特に研究所の見学や、実際に働く先輩社員の姿など、現地の雰囲気を感じられたのはよかった情報男性
RPG形式で進んだグループワーク機械男性
オンラインでありながら、リアルタイムで人事の方がカメラを持って移動しながら解説してくれるミュージアム(その会社の製品の歴史などがわかる博物館のような施設)見学機械女性
インクが送られてきて、実際に混ぜて、それを送り返すと後日評価が送られてきたというもの化学男性
テレビ局はいずれも番組制作を体験できてユニークだった化学女性
ボードゲームで順位を競うインターンその他男性
2週間かけてデータサイエンスに取り組む(ハッカソン)その他男性
新しい価値観の創造についてグループワークでまだ世にない価値観を生み出すアイデアを考えた。モノづくりは価値観をうむものでもあるのでその必要性を知ることができたその他女性

理系院生が情報収集で利用する手段に「逆求人型就職サイト」が過半数

理系学生が志望企業の情報収集で利用する手段・ルートを見ると、「一般的な就職ナビ」が最多で83%、次いで「企業のホームページ」が71%、「逆求人型就職サイト」が53%などとなっている。企業のホームページから情報収集し、直接応募する学生も少なくなく、企業が採用ホームページのブラッシュアップに力を入れる背景の一つとなっていることがうかがえる。また、理系院生では「逆求人型就職サイト」を過半数が利用しており、この結果からも、企業の個別採用への取組みの必要性が高まっていることがうかがえる(図表5-1)。

【図表5-1】志望企業に関する情報収集の際に利用した手段・ルート

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

「応募先企業を探す際に重視する点」は、「事業内容」が68%、次いで「仕事内容(自分の専攻やスキルが活かせる)」が56%、「安定性」が49%などとなっている。就活生全体では、「仕事内容」(60%)に次いで「給与・待遇」(59%)、「福利厚生」(56%)などが上位に挙がっており、理系院生との重視する点の違いがうかがえる(図表5-2)。

【図表5-2】応募先企業を探す際に重視する点

HR総研×LabBase:2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月) 結果報告

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HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研×LabBase】2022年修了理系院生の就職活動動向調査(7月)
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)、LabBase(株式会社POL)
調査期間:2021年7月5日~11日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:LabBase会員である2022年修了予定の理系院生
有効回答:482件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
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Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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