前回に引き続き、10月1日に内定式を実施した企業と、実施しなかった企業における採用状況の違いを探るとともに、採用担当者が2017年卒採用はどうあるべきだと考えているのかを見てみたい。
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内定辞退率がより悪化した企業は「10月1日内定式実施企業」以外
10月1日に内定式を実施した企業と、実施しなかった企業について、前年との内定辞退率の比較を見てみたい。まずはすべての企業での比較である。
「増えた(5割以上)」とする企業は、10月1日に内定式を実施した企業でも13%あるものの、それ以外の企業では20%にもなる。ただし、「増えた(5割未満)」企業の割合にはそれほどの違いはなく、「増えた(5割以上)」の差は、「(前年と)同程度」の差といえる。
[図表1]内定辞退率の前年比(全体)
内定辞退率の悪化による違いは大手企業ほど鮮明に
上記のデータを企業規模別に見たとき、大手企業でより際立った違いを見ることができる。
「増えた(5割以上)」とする企業は、10月1日に内定式を実施した企業のほうが5ポイント高くなっているものの、「増えた(5割未満)」企業の割合は、10月1日に内定式を実施した企業が33%なのに対して、それ以外の企業では実に60%にも及ぶ。「減った」とする企業が皆無なのも大手企業だけの傾向である。
10月1日に内定式を実施しなかった企業の中にも採用活動をほぼ終了しながらも、役員や会場の都合で別日に設定した例もあるだろうが、多くは内定辞退に苦しんでいる姿が浮き彫りになっている。
[図表2]内定辞退率の前年比(大手企業)
それ以外の企業では、内定辞退率10%未満はゼロ
次に、10月1日に内定式を実施した企業と、実施しなかった企業について、具体的な内定辞退率で比べてみたい。
こちらのデータにおいても、大手企業だけで比べたものがわかりやすくなっている。内定辞退率が「50%以上」の割合を見てみると、10月1日に内定式を実施した企業では18%なのに対して、それ以外の企業では倍以上の40%にも達する。逆に、10月1日に内定式を実施した企業では「10%未満」の企業割合も18%あるのに対して、それ以外の企業では1社もないという結果となっている。企業ごとの前年比較でも苦戦の様子は出ているが、内定辞退率においてもそれ以外の企業では苦戦している様子がはっきりとわかる。
[図表3]内定辞退率の比較(大手企業)
「6月」派もいるが大勢は「4月」を希望
2017年卒採用の選考解禁日はいつが適当かを選んでもらったところ、どの企業規模においても前年までの「4月」を支持する声が多い。中堅企業では66%と3社に2社の割合にもなっている。中小企業でも57%と過半数が「4月」を推している。
一方、大手企業では、確かに「4月」が49%で最多となっているものの、現実的な対応を考えて「6月」とする企業も16%と、他の企業規模よりは突出して高くなっている。ただ、これだけ「4月」をよしとする声が多いということは、2017年卒採用での選考解禁日が「6月」に2カ月繰り上がったとしても、翌年はさらに見直しになる可能性が高い。「6月」案は、会社説明会等の会場予約が完了しているであろう採用広報解禁日を、この段階で3月から前倒しすることができないことによる妥協案であると考えざるを得ない。
なお、今回の調査で、「選考時期は自由にする」という声が大手だけでなく中小企業でも多かったことには注目したい。解禁日をいつに設定しようが、所詮すべての企業に守らせることは不可能であり、行きつくところは「自由化」の道しかないのかもしれない。
[図表4]2017年卒採用における選考解禁日はいつにすべきか
4月に戻すべきとの声が圧倒的
2017年卒採用はどうあるべきか、担当者の生の声を紹介したい。
・2015年新卒同様、大手企業が先に面接及び内定出しをした方が良い。
・現在の8月採用開始は学生、企業の双方にとってデメリットばかりが目立ち、メリットが感じられない。
・学生が入社したい第一志望群とする企業が多い経団連加入企業の選考活動は、8月ではなく4月等のなるべく早いタイミングで選考解禁にすべきと思う。
・選考解禁を早め、「就職・採用活動」の実質的短縮を目指す必要があると思う。
・従来のやり方に戻すべきだと思います。
・どのスケジュールにするにせよ、各企業が明確に選考日と内定日を公表すべき。
学生が短期で就職できる環境が必要。いたずらにインターンシップの囲い込みはやめるべき。
中には、
・10月広報解禁、2月後半選考開始がベスト。
とさらに前倒しを推す声も。
【調査概要】
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:2016年卒新卒採用実施企業の採用責任者・担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2015年10月5日~10月7日
有効回答:192社(1001名以上:37社、301~1000名:67社、300名以下:88社)
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