前回(「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【2】)で、階層別研修に注目し今後育成を強化する予定の階層は「中堅社員」であるとレポートしたが、第3回目の今回は「中堅社員研修」の詳細についてレポートする。

 まず、「中堅社員研修」の対象年齢層を聞いたところ、最多回答は「30歳前後」(51%)、次に「27歳前後」「32歳前後」(共に32%)であり、30歳前後の社員を対象とする企業が多い。

中堅社員の課題を調査したところ、「実務のキーマンとしての役割認識」(59%)が最も多く、次に「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」(50%)、「職場の問題解決能力向上」「モチベーション向上」(共に49%)と続いているが、メーカーと非メーカーにおいて上位項目は異なっている。
研修内容については「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」(65%)、「コミュニケーション」(51%)が半数を超える回答を集めた。

なお、研修の実施主体を聞いたところ、「自社(グループ会社)で内製」が50%、「外部の研修会社を利用」が36%であった。「新入社員研修」「新入社員フォロー研修」では、「内製」の比率が7割を超えていることと比較すると、外部のノウハウ・リソースが必要とされる分野であることが伺える。

※企業規模別、メーカー/非メーカー別の傾向等、詳細はログインの上、ご確認ください※

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■対象年齢は30歳前後。非メーカーの方が若くして「中堅社員研修」の対象に

「中堅社員研修」の対象年齢層を聞いたところ、全体での最多回答は「30歳前後」(51%)、次に「27歳前後」「32歳前後」(共に32%)であり、30歳前後の社員を対象とする企業が多いことが分かった。
だが、メーカーと非メーカーを比較すると、「非メーカー」では「30歳前後」を頂点に、その前後に回答がなだらかに分布しているが、「メーカー」では、「30歳前後」が突出して多い比率を占めているとともに、「その他(35歳超え)」も対象とする企業が4社に1社もある。「非メーカー」の方が、若いうちから「中堅社員」とみなす傾向が見て取れる。


〔図表1〕中堅社員研修の対象者年齢層(メーカー/非メーカー)

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【3】

■次期マネジメント層として期待され、課題を抱える「中堅社員」

では、人事は「中堅社員」に対し、どのような課題を感じているのだろうか。選択肢で聞いたところ、全体での最多回答は「実務のキーマンとしての役割認識」(59%)、次に「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」(50%)、「職場の問題解決能力向上」「モチベーション向上」(共に49%)と続いているが、メーカー・非メーカーでの上位回答は異なっている。

・メーカー
 1位「モチベーション向上」58%
 2位「実務のキーマンとしての役割認識」52%
 3位「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」45%

・非メーカー
 1位「実務のキーマンとしての役割認識」63%
 2位「職場の問題解決能力向上」56%
 3位「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」33%

非メーカー系で58%の回答があった「職場の問題解決能力向上」は、メーカー系では36%と20ポイントの差異があり、非メーカーの方が、非定型業務の発生頻度が多いことが伺える。

なお、メーカー系で回答率TOPとなった「モチベーション向上」(58%)は、非メーカーでは44%と、14ポイントの差異がある。メーカーの方がメンバーのモチベーションに課題を感じているといいうことなのであろう。


〔図表2〕中堅社員に関する課題

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【3】

なお、フリーコメントでは、中堅社員に関し下記のような課題が挙げられており、
次期マネジメント層としての期待値においての課題が多い。

・自立心の向上
・離職を防ぐ為のモチベーションUP
・マネジャーになりたがらないものに対するモチベーションアップ
・マネジメント能力の不足
・責任感が薄いこと。多くの社員がその場しのぎで仕事をし、やりがいを抱いたいないこと
・幹部社員としての心構えの構築がなかなか出来ない。役職があがるにつれ責任も重くなってくることに対して、積極性にやや欠ける
・現状の業務遂行に対して自身で課題設定できていないため、単なる知識付与で終わっている

また、中堅社員研修の実施に関する課題として、
・職場のキーとなる世代なので、参加率が低い
・レベル感がまちまち(課題もそれぞれ)なので、やりづらい
・昇格が見込める方とそうではない方が混在した講座運営の難しさ。
といった声も上がっている。

■研修プログラム内容のメインは「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」

では、「中堅社員研修」のプログラム内容はどうだろうか。
最多回答は「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」(全体:65%)である。
企業規模別、メーカー/非メーカーで見ても、最多回答は「リーダーシップ/フォロワーシップスキル」である。
次に、「コミュニケーション」(全体:51%)、「ロジカルシンキング」(全体:40%)と続く。
「ロジカルシンキング」については、メーカーで28%、非メーカーで48%と、20ポイントの差異がある。論理的思考を備えた理系出身者が多いメーカーでは、「ロジカルシンキング」強化の必要性はそれほど高くないようである。

新入社員や、若手向け研修で回答の多かった「会社の歴史・理念」「コンプライアンス」「タイムマネジメント」「ストレスマネジメント」は少ない。すでに習得しているものとみなされているのであろう。
フリーコメントを見ると、詳細の内容は多彩である。自分軸構築・他社との関係性、コーチング、ファシリテーション、昇給時のオリエンテーションを実施する企業や、部下指導の基本や自己分析を徹底する企業もある。


〔図表3〕中堅社員研修の内容

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【3】

なお、実施方法については「集合型研修」が94%と大半を占めている。

■研修会社の利用比率も高い「中堅社員研修」

研修の実施主体を聞いたところ、「自社(グループ会社)で内製」が50%、「外部の研修会社を利用」が36%であった。内製の比率は、「新入社員研修」で76%、「新入社員フォロー研修」では75%と、7割を超えていることと比較すると、「中堅社員」の育成は外部のノウハウ・リソースが必要とされる分野であることが伺える。


〔図表4〕研修の実施方法

「HR総研 人事白書2015」人材育成に関する調査結果【3】

【調査概要】

調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査対象:上場および未上場企業人事責任者・担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2015年1月14日~1月27日
有効回答:149社(1001名以上:42社、301~1000名:44社、300名以下:63社)

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