企業の将来を担う若手社員の育成は、組織全体の活性化にもつながる企業成長の大きな鍵であり、多くの企業にとって重要な取り組み課題であるといえる。早期戦力化と定着率向上の両立、個々の適性や志向に合わせた柔軟な育成アプローチなど、若手社員育成にあたって企業が取り組むべきする課題は多岐にわたる。 若手社員の潜在能力を最大限に引き出し、エンゲージメントを持続的に高めるための育成戦略とはどのようなものなのだろうか。 HR総研では、若手社員の育成の実態を明らかにし、効果的な取り組みを探るアンケートを実施した。調査結果をフリーコメントも含めて以下に報告する。

大企業の8割以上が育成計画を作成、中小企業との差は?

まず、「若手社員に対する育成計画の作成有無」ついて企業規模別に見てみると、「作成している」は、従業員数1,001名以上の大企業では86%と、9割に迫っているのに対し、301~1,000名の中堅企業では61%、300名以下の中小企業では59%と、6割程度にとどまっている。大企業に比べて、中堅企業・中小企業では若手社員の育成計画を作成している企業は少なくなっている(図表1-1)。

【図表1-1】企業規模別 若手社員に対する育成計画の作成有無

HR総研:「若手社員の育成」に関するアンケート 結果報告

「育成計画を作成している」企業を対象に、育成計画の期間を聞いたところ、大企業では「2年以上3年未満」が最多で23%、「3年以上4年未満」~「5年以上」の割合を合計した「3年以上」(以下同じ)は38%となっている。中堅企業では「1年未満」、「2年以上3年未満」がともに26%で最多となっている。また、「3年以上」も26%と大企業よりは割合が低いものの、3割近くに上っている。一方、中小企業では「1年未満」が最多で36%となっており、「1年以上2年未満」(23%)と合わせた「2年未満」の割合は59%と約6割に上り、大企業・中堅企業に比べて育成期間が顕著に短いことが分かる(図表1-2)。

【図表1-2】企業規模別 若手社員の育成期間

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OJTの体制整備、6割の企業が実施

若手社員の育成に関する具体的な取組み状況について、まず人材育成の前提となる現状把握や計画段階における取組みを見てみる。
「求めるスキルの定義」については「できている」(10%)と「ややできている」(36%)との合計が46%となっている。「スキル習得状況の可視化」は「できている」(10%)と「ややできている」(28%)との合計が38%と、取り組んでいる企業は4割弱にとどまった。「キャリアパスの明示」については「できている」(7%)と「ややできている」(26%)との合計が33%となっており、3項目の中で最も低い結果となった。また、「キャリアパスの明示」は、「ややできていない」と「できていない」の合計が39%に達しており、若手社員のキャリア展望を示すことに苦慮している企業が多いことが分かる(図表2-1)。

【図表2-1】若手社員育成の具体的な取組み状況(現状把握・計画・スキル管理)

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次に、スキル向上支援の体制に関する取組み状況を見てみる。
「OFF-JTの機会の整備」については「できている」(21%)と「ややできている」(36%)との合計が57%となっている。「OJTの体制整備」は「できている」(18%)と「ややできている」(43%)との合計が61%と、3項目の中で最も高い割合となっている。一方、「自己学習支援」については「できている」(19%)と「ややできている」(35%)との合計が54%となっており、3項目の中で最も低い結果となった。いずれの項目も半数を超える企業が「できている」「ややできている」と回答しており、多くの企業が従業員の能力開発に積極的に取り組んでいることがうかがえる。特に「OJTの体制整備」については6割以上の企業が実施できていると回答しており、現場での実践的な教育に力を入れている傾向がうかがえる(図表2-2)。

【図表2-2】若手社員育成の具体的な取組み状況(スキル向上支援の体制)

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「就労環境の配慮」については「できている」(8%)と「ややできている」(39%)との合計が47%となっており、「上司との対話機会」についても「できている」(12%)と「ややできている」(34%)との合計が46%と、僅差で2番目となっている。一方、「挑戦的な業務機会の提供」については「できている」(7%)と「ややできている」(24%)との合計が31%にとどまり、3項目の中で最も低い結果となった。「挑戦的な業務機会の提供」は、リスクも伴うため、他の2項目に比べて取組むためのハードルが高いものの、挑戦を通じて得られる経験は、座学や通常業務では得られない貴重な学びをもたらすものであり、将来的に組織の中核を担う社員を育成するためには重要な施策といえるだろう(図表2-3)。

【図表2-3】若手社員育成の具体的な取組み状況(キャリア支援・サポート)

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中核人材の確保、成果を実感できているのはわずか2割

次に、若手社員育成に関する成果の状況について、いくつかの観点から見てみる。
「業務の専門スキル習得」については「成果が出ている」(6%)と「やや成果が出ている」(34%)との合計が40%となっている。「汎用的スキル習得」は「成果が出ている」(4%)と「やや成果が出ている」(34%)との合計が38%と、ほぼ同様の結果となった。「業務パフォーマンス向上」については「成果が出ている」(4%)と「やや成果が出ている」(32%)との合計が36%となり、若干低い傾向が見られた。全体的に見ると、いずれの項目も「どちらともいえない」の割合が39~43%と最も高くなっており、成果の判断に慎重な姿勢がうかがえる。一方で、「やや成果が出ていない」と「成果が出ていない」を合わせた割合は17~23%にとどまっており、多くの企業でスキル習得とパフォーマンス向上に関して、若手社員の育成に一定の成果が出ていることが示唆されている(図表3-1)。

【図表3-1】若手社員の育成に関する成果(スキル習得・パフォーマンス向上)

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続いて、キャリア意識や自主的な学習習慣など、意識変容に関する成果を見て
みる。「組織理解と貢献意欲」については「成果が出ている」(4%)と「やや成果が出ている」(33%)との合計が37%となっており、3項目の中で最も高い成果を示している。「学習習慣」は「成果が出ている」(5%)と「やや成果が出ている」(25%)との合計が30%となっている。一方、「キャリア自律」は「成果が出ている」(3%)と「やや成果が出ている」(21%)との合計が24%と、成果が出ている企業は約4分の1にとどまった。若手社員が自律的にキャリアを考え、継続的に学習する習慣を身につけるような意識の変容が見られる企業は限られていることがうかがえる(図表3-2)。

【図表3-2】若手社員の育成に関する成果(意識の変容)

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「離職率の適正化」と「中核人材の確保」に関する若手社員の育成成果を見てみると、「離職率の適正化」については「成果が出ている」(21%)と「やや成果が出ている」(31%)との合計が52%となっており、半数以上の企業で成果が見られる。一方、「中核人材の確保」は「成果が出ている」(3%)と「やや成果が出ている」(21%)との合計が24%にとどまっている(図表3-3)。「図表3-1」のスキル習得・パフォーマンス向上に関する成果項目や、「図表3-2」の「組織理解と貢献意欲」などの項目と比較しても、「中核人材の確保」で成果が出ている企業の割合は低くなっている。離職を防止し、若手社員の貢献意欲も醸成でき、スキル習得も順調に進んでいたとしても、中核人材の十分な確保ができているわけではないことが分かる。また、中核人材の確保の成果の判断については、長期的な視点が必要であり、短期間での成果判断が難しいことも、他の項目に比べて成果を実感している企業が少ない理由の一つだろう。

【図表3-3】若手社員の育成に関する成果(離職率の適正化・中核人材確保)

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若手社員の離職防止の成果と最も相関が高い取組みとは?

若手社員育成の成果と取組み状況との相関関係を見てみる。
相関関係とは、二つ以上の事象について一方の数値が増加すると、もう一方の数値が増加または減少するような関係のことである。一方の数値が増加したときに、もう一方の数値も増加する関係にある場合、「正の相関がある」といい、反対に減少する関係にある場合には「負の相関がある」という。相関関係を数値で表す「相関係数」(r)は-1.0~1.0の範囲で値をとり、この相関係数の値が大きいほど強い正の相関があり、0に近づくほど相関が弱い関係であることを表している。
図表4-1は、図表2-1~2-3で示した8つの成果項目と、図表3-1~3-3で示した9つの取組み項目との相関関係を示した表である。例えば、成果項目の「業務の専門スキル習得」と、取組み項目の「OFF‐JTの機会の整備」との相関係数は、0.53となっている。「OFF‐JTの機会の整備」は他の取組み項目と比べて、「業務の専門スキル習得」の成果との相関関係が最も強いことが分かる(図表4-1)。

【図表4-1】企業規模別 若手社員育成に関する取組み状況と成果の相関関係

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ここからは、成果項目ごとに各取組み項目との相関について詳しく見ていく。まず、「業務の専門スキル習得」に関する成果と各取組み項目との相関について見てみると、「OFF-JTの機会の整備」との相関係数は0.53となっており、他の取組み項目と比べて最も高い値となっている。次いで「求めるスキルの定義」は0.51、「OJTの体制整備」は0.49となっている。一方で「キャリアパスの明示」は0.30、「自己学習支援」は0.31と、相対的に低い値となっている。業務の専門スキル習得には、計画的な研修機会の提供や明確なスキル定義、実務を通じた指導体制の整備が特に効果的であることがうかがえる。一方で、キャリアパスの提示や社員の自主的な学習の支援だけでは直接的なスキル習得への影響は限定的である可能性が示唆される(図表4-2)。

【図表4-2】業務の専門スキル習得に関する成果と各取組み項目との相関

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次に、「汎用的スキル習得」に関する成果と各取組み項目との相関について見てみると、「OJTの体制整備」との相関係数が0.52と最も高く、次いで「就労環境の配慮」が0.51、「求めるスキルの定義」が0.45となっている。一方、専門スキル習得で最も高い相関を示していた「OFF-JTの機会の整備」は、汎用的スキル習得では0.41となっている。これは、専門的スキルが研修等のOFF-JTの中で効果的に習得されるのに対し、汎用的スキルは、座学よりも日々の業務実践や良好な職場環境の中で効果的に習得される傾向にあることを示唆している(図表4-3)。

【図表4-3】汎用的スキル習得に関する成果と各取組み項目との相関

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「離職率の適正化」に関する成果と各取組み項目との相関については、「OJTの体制整備」との相関係数が0.44と最も高く、次いで「就労環境の配慮」が0.41、「自己学習支援」が0.36となっている。「OJTの体制整備」が最も高い相関を示していることから、若手社員が日々の業務の中での指導や支援により、職場で必要なスキルを効果的に習得し、自身の成長を実感できることが、職場への定着につながっていることがうかがえる(図表4-4)。

【図表4-4】離職率の適正化に関する成果と各取組み項目との相関

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大企業は中堅・中小企業に比べて「リーダーシップ」の育成をより重視する傾向

「若手社員の育成において重視しているスキル」については、「業務の専門知識・技術」が最多で49%、次いで「コミュニケーション力」が46%、「課題解決力」が39%などとなっている。前回の調査と比較すると、上位3項目の順位に変動はなく、企業が若手社員に求めるスキルセットについては大きく変化していないことが分かる(図表5-1)。

【図表5-1】若手社員の育成において重視しているスキル

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「若手社員の育成において重視しているスキル」について、企業規模別に見てみると、大企業では「コミュニケーション力」が最多で45%であるのに対し、中堅企業・中小企業では「業務の専門知識・技術」が最多となっている。また、「リーダーシップ」についても大企業が32%であるのに対し、中堅企業では16%、中小企業では15%と、大企業の方が若手社員育成においてリーダーシップを重視していることが分かる。中堅企業・中小企業では業務に直結する専門知識やスキルの習得により早期の戦力化を目指している一方で、大企業ではより汎用的なスキルの習得を重視していることがうかがえる(図表5-2)。

【図表5-2】企業規模別 若手社員の育成において重視しているスキル

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中核人材の確保に関する成果別に、若手社員の育成において重視しているスキルについて見てみる。中核人材の確保について、「成果が出ている」と「やや成果が出ている」とを合計した「成果が出ている層」と、「成果が出ていない・やや成果が出ていない」と「どちらともいえない」とを合計した「成果が出ている層以外」の2つに企業群を分割し、それぞれの重視しているスキルを見てみる。
成果が出ている層とそうでない層とを比較すると、最も大きな差がみられたのは「リーダーシップ」であり、「成果が出ている層」では37%であったのに対し、「成果が出ている層以外」では、16%となっており、21ポイントもの差がある。育成においてリーダーシップを重視することは、単に現在の業務遂行能力だけでなく、将来的に組織をけん引する「次世代リーダー人材」の育成を意識していることを示しており、成果が出ている企業では、より中長期的な視点で育成に取り組んでいることがうかがえる(図表5-3)。

【図表5-3】中核人材の確保の成果別 若手社員の育成において重視しているスキル

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自主学習の習慣が根付いている企業「キャリアデザイン研修」の実施率が高い傾向

ここからは、若手社員育成に関する具体的な施策について、いくつかの視点からその取組み状況を見てみる。
「実施している若手社員育成の施策(キャリア支援)」については「上司との1on1」が最多で68%、次いで「メンター制度の導入」が47%、「キャリアデザイン研修の実施」が34%などとなっている。多くの企業が若手社員のキャリア支援において、直接的なコミュニケーションと個別支援を重視していることが分かる(図表6-1)。

【図表6-1】実施している若手社員育成の施策(キャリア支援)

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「実施している若手社員育成の施策(職場環境改善・組織適応)」については「定期サーベイの実施(社員満足度、エンゲージメント)」が最多で48%、次いで「若手社員向けフォローアップ研修の実施」が46%、「社員同士のコミュニケーションの場の創出」が43%などとなっている。職場環境改善・組織適応に関しては、エンゲージメント状態の把握等を含む、モニタリング・フォローアップに関する施策を重視している企業が多いこと分かる(図表6-2)。

【図表6-2】実施している若手社員育成の施策(職場環境改善・組織適応)

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「実施している若手社員育成の施策(能力開発支援)」については「座学での研修」が最多で69%、次いで「育成担当をつけてのOJT」が63%、「e-ラーニング教材の提供(外部サービスも含む)」が55%となっている。また、「自己啓発・資格取得支援(費用補助)」については53%の企業が取り組んでいるのに対し、「自己啓発・資格取得支援(学習時間の確保)」は13%となっており、自主的なスキル向上に関しては、業務時間外に行うものと位置づけ、経済的な支援を重視している企業が多いことがうかがえる(図表6-3)。

【図表6-3】実施している若手社員育成の施策(能力開発支援)

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次に、若手社員の自主的な学習習慣に関する成果別に、具体的な取組みについて見てみる。ほとんどの項目について、「成果が出ている層」の実施率の方が高かったが、特に顕著な違いがみられたのは、「キャリアデザイン研修の実施」で、「成果が出ている層」では46%であったのに対し、「成果が出ている層以外」では、28%と、18ポイントの差がみられた。また、「自己申告制度の導入」についても、「成果が出ている層」が34%と、「成果が出ている層以外」よりも10ポイント実施率が高くなっており、若手社員が自身のキャリアや成長について主体的に考え、行動することを促す施策が、自主的な学習習慣の醸成につながっていることがうかがえる(図表6-4)。

【図表6-4】自主的な学習習慣の成果別 実施しているキャリア支援施策

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また、キャリア自律の意識に関する成果別に、キャリア支援の施策の実施状況を見てみると、「成果が出ている層」と「成果が出ている層以外」で実施率に最も大きな乖離があったのは「キャリアデザイン研修」で、31ポイントもの差があった。また、「自己申告制度の導入」についても、「成果が出ている層」の実施率の方が8ポイント高いなど、自主的な学習習慣に関する成果別に見たときとほぼ同様の傾向が見られた。(図表6-5)。

【図表6-5】キャリア自律の成果別 実施しているキャリア支援施策

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若手社員育成の課題、「先輩・上司の指導力不足」が最多で4割超

次に、「若手社員の育成に関する課題」については、「育成を担当する上司・先輩の指導力不足」が最多で46%、次いで「育成効果の見える化ができていない」が43%、「体系的な育成計画の策定・実施が不十分」が42%などとなっている。(図表7-1)。

【図表7-1】若手社員の育成に関する課題

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課題について企業規模別に見てみると、大企業では「育成効果の見える化ができていない」が最多44%であるのに対し、中堅企業では、「育成を担当する上司・先輩の指導力不足」が55%、中小企業では「体系的な育成計画の策定・実施が不十分」が51%と最多となっている。企業規模ごとに、若手社員の育成に関して抱えている課題が異なることが分かる(図表7-2)。

【図表7-2】企業規模別 若手社員の育成に関する課題

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若手中核人材の確保に成功している企業、半数以上が「エンゲージメント」をKPIに設定

次に、「若手社員の育成において設定しているKPI」について見てみると、「KPIは設定していない」が最多で35%、次いで「社員のエンゲージメント」が30%、「離職率」が23%などとなっている。一方で研修関連の指標(「研修の満足度」、「研修の受講数・受講率」)や「資格・スキル認定の取得率」は比較的低い割合にとどまっており、KPIを設定している企業においては、若手育成の成果を、組織への貢献意識や定着率で測ろうとする傾向がうかがえる(図表8-1)。

【図表8-1】若手社員の育成において設定しているKPI

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中核人材の確保に関して「成果が出ている層」と、「成果が出ている層以外」で、それぞれ設定しているKPIを見てみると、「成果が出ている層」では「社員のエンゲージメント」が最多で51%、次いで「従業員満足度」が33%となっている。成果が出ていない企業では「KPIは設定していない」が最多で41%、となっている。会社に対する愛着や貢献意識の高さを示す社員のエンゲージメントや満足度をKPIとして設定して、若手社員の育成に取り組んでいる企業において、成果が出ていることが分かる(図表8-2)。

【図表8-2】中核人材確保の成果別 設定KPI

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若手社員の育成に関する自由意見

最後に、若手社員の育成に関する意見のフリーコメントから代表的なものを抜粋し以下に紹介する(図表9)。

【図表9】「若手社員の育成」に関する自由意見(一部抜粋)

「若手社員の育成」に関する自由意見従業員規模業種
転職が当たり前の時代ですのでエンゲ-ジメント向上が課題です1,001名以上サービス
年々若手社員の適応力が低下しているように感じる。 無理をせずとも転職の機会が増え、キャリアチェンジしやすくなったことも背景にあると思う1,001名以上サービス
若手育成に関わる人事や現場の幹部のリソースが人的にも時間的にも足りていない1,001名以上マスコミ・コンサル
仕事の経験を多く積むこと、育成環境のある組織に配属すること1,001名以上情報・通信
育成以前の社風に馴染むことに最重点を置いています301~1,000名メーカー
毎年集合研修を行っているが、実施している内容と、現場で求めているスキルと、本人が伸ばしたいスキルに乖離がある301~1,000名メーカー
会社として求める具体的な社員像を示せてないので、育成計画も入社直後のみで本人に任せきりになっている301~1,000名金融
若手社員の育成の強化=上司のマネージメント力強化301~1,000名商社・流通
OJTが中心だが、体系化されておらず、その時抱えている案件によって、修得範囲にバラツキが出る300名以下メーカー
転職への壁が低くなっている今、個々人にあった育成プログラムも大切だと思っています(一律だとどうしてもレベル差が大きくなってしまうため)300名以下メーカー
若手社員を育成するメンターや先輩の教育が先と考えている300名以下メーカー

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】「若手社員の育成」に関するアンケート
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2024年8月23~30日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:企業の人事責任者・担当者
有効回答:234件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照いただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当調査のURL記載、またはリンク設定
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  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
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  ・目的
Eメール:souken@hrpro.co.jp

※HR総研では、当調査に関わる集計データのご提供(有償)を行っております。
詳細につきましては、上記メールアドレスまでお問合せください。

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