HR総研では、2015年4月8日~22日に上場及び未上場企業の新卒採用担当者に対して「2016年度新卒採用動向調査」を、2015年4月9日~15日には2016年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象に「就職活動調査」を企画・実施(※)した。
(※)企業調査は弊社が運営する人事ポータルサイト「HRプロ」にて実施、学生調査は楽天株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史)が運営する口コミ就職情報サイト「みんなの就職活動日記」の協力の下に実施。

「採用選考に関する指針」によって採用活動時期の変更を求められる2016年卒採用だが、4月に入り選考・内々定出しの状況はどうなっているのか。文系採用・理系採用のそれぞれの現状をレポートする。

■【文系採用】

面接開始時期は4月(18%)・5月(17%)がピーク

企業調査にて文系採用の選考開始時期を調査したところ、「4月まで」にスタートすると回答した企業は全体の41%、「5月末」時点では59%、「7月まで」に68%の企業が選考(面接)を開始する予定であることが分かった。


[図表1] 〔企業調査〕文系採用 選考開始時期

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

一方、学生調査では、57%の学生が「4月前半までに選考を受けている」と回答している。
学校グループ別に見てみると、国公立大学の学生と比較すると、私立大学の学生のほうが早期に活動を開始していることが伺える。
すでに選考を受けている比率が最も高いグループは「早慶クラス」の67%であり、「旧帝大クラス」(46%)とは21ポイントもの差異があることが分かった。


[図表2]〔学生調査〕文系学生 選考参加の有無

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

すでに11%の企業が内々定出しを開始、11%の学生が内々定を保持

「内々定出しを開始する時期」を調査したところ、「4月前半」までに11%の企業がすでに内々定出しを開始しており、「5月末」時点では41%、「7月まで」に61%の企業が内々定出しを開始する予定であることが分かった。


[図表3]〔企業調査〕文系採用 内々定出し開始時期

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

学生調査からは、すでに内々定を持っている文系学生は全体の11%を占めることが分かった。内々定保持率は「早慶クラス」(17%)が最も高く、次に「上位私立大」(15%)となった。選考参加状況と相関する結果であり、国公立大学の内定保持率は、私立大学を下回る結果となっている。


[図表4]〔学生調査〕文系学生 内々定の有無

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

■【理系採用】

面接開始は4月(24%)がピーク

同じく企業調査にて、理系採用の選考開始時期を調査したところ、「4月まで」にスタートすると回答した企業は全体の51%「5月末」時点では66%、「7月まで」に73%の企業が選考(面接)を開始する予定であり、文系選考と比較して、早く進捗していることが分かった。


[図表5]〔企業調査〕理系採用 選考開始時期

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

一方、学生調査では、52%の学生が「4月前半までに選考を受けている」と回答している。
すでに選考を受けている比率が最も高いグループは「その他私立大学」66%、次に「上位私立大」65%、「上位国公立大」62%と並んだ。文系では面接参加率が高かった「早慶クラス」は、理系では45%と半数以下に留まっている。「その他国公立」と「中堅私立大」はそれぞれ36%、39%と、4割を切っており、文系とは活動量の差が大きくなっている。


[図表6]〔学生調査〕理系学生 選考参加の有無

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

すでに13%の企業が内々定出しを開始、11%の学生が内々定を保持

同じく、理系採用に関して「内々定出しを開始する時期」を調査したところ、「4月前半」までにすでに13%の企業が内々定出しを開始しており、「5月末」時点では52%、「7月まで」に71%の企業が内々定出しを開始する予定であることが分かった。


[図表7]〔企業調査〕理系採用 内々定出し開始時期

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

また学生調査からは、すでに内々定を持っている理系学生は全体の16%を占めることが分かった。
大学グループ別に内々定保持率をみると、最も高いのは「上位私立大」35%、次に「旧帝大クラス」20%、「上位国公立大」19%、「早慶クラス」18%と続く。文系とは異なり、面接参加率とは相関しない状況が生じているのが現状だ。

[図表8]〔学生調査〕理系学生 内々定の有無

「2016年新卒採用 4月調査」結果速報

なお、リクルートワークス研究所発表の大卒求人倍率(2016年卒)によると、今年の求人倍率は昨年の1.61倍を上回る1.73倍に。企業の採用環境はますます厳しくなり、内々定出しのタイミングはさらに加速されるものと思われる。

■調査概要

【企業調査】
調査主体      :HR総研(ProFuture株式会社)
調査方法      :WEBアンケート
調査期間      :2015年4月8日~22日
調査対象      :上場および未上場企業の新卒採用担当者
有効回答社数    :360社
回答企業の属性(規模):1,001名以上 64社、301~1,000名 106社、300名以下 190社

【学生調査】
調査主体     :みんなの就職活動日記(楽天株式会社)
調査企画     :HR総研(ProFuture株式会社)
調査方法     :WEBアンケート
調査期間     :2015年4月9日~15日
調査対象     :2016年3月卒業予定の大学生・大学院生
有効回答者数   :837名
回答者の属性(文理):文系 576名、理系 261名
回答者の属性(学校):旧帝大クラス 98名、早慶クラス 104名、上位国公立大 73名、上位私立大 152名、その他国公立大 130名、中堅私立大 138名、その他私立大 142名

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