スマホの非ユーザーは極めて限定的
就活生の携帯端末の利用について聞いてみた。スマホを利用している(ガラケーと両方利用を含む)学生は、文系で97%、理系でも96%に上り、ガラケーのみの利用学生は極めて少数派となっている。今回、PCとの利用割合については確認していないが、特に文系においてはPCよりもスマホを利用してWEBを閲覧する学生がかなり多いものと推測される。自社の採用ホームページがまだスマホ対応ができていない企業は、早々にスマホ対応を考えるべきであろう。
[図表1]スマホの利用状況
プライベートでSNSを利用していない学生は例外的
学生のSNSの利用状況について、「普段の生活」「就職活動」の2つの場面での違いを見てみる。
まず、「普段の生活」で使用しているSNSであるが、トップは「LINE」で、文系の93%、理系の88%が使用している。次いで「Facebook」は文系の75%、理系の69%が使用しており、僅差で「Twitter」(文系71%、理系58%)が追いかける。利用度が高いのはここまでで、文系だけを見ても「Google+」18%、「mixi」5%、「LinkedIn」2%といった具合だ。かつては現在の「LINE」や「Facebook」並みの利用度を誇っていた「mixi」がわずか5%にまで落ち込んでいることに時代の流れを感じる。ほんの数年でここまで変わってしまうことに驚くばかりである。
[図表2]普段の生活におけるSNSの利用状況
文系の4割、理系の5割以上が「就活ではSNSを利用しない」
さて、「就職活動」での利用状況はどうだろうか。トップは「Facebook」、次いで「Twitter」となるものの、その利用度は文系でもそれぞれ40%、34%にとどまる。理系ではさらにそれぞれ31%、21%に落ち込んでしまう。「普段の生活」に比べて、「Facebook」は約半分、「Twitter」は約3分の1にまで減っている。ここ数年、「Facebook」で採用ページを立ち上げることが企業側のブームのよ
うになっていたが、今年もまた学生の利用を期待することはできなそうである。採用スケジュールが繰り下がることに対して、企業は当初、「Facebook」による情報発信で補おうという動きもあったが、結果的にはオフィシャルサイトの採用情報ページを、3月を待つことなく早期に公開することを選択したことも影響していると思われる。
「就活ではSNSを利用しない」とする学生が、文系で4割、理系に至っては5割以上いる。プライベートでは7割前後の学生が「Facebook」を利用しているものの、かえってそのプライベートの「Facebook」が企業と繋がることを敬遠しているようである。
[図表3]就活におけるSNSの利用状況
文系の一番人気は「総合商社」
志望する業界を1つだけ選択してもらったところ、文系では「総合商社」が47票、「メガバンク」が45票、「マスコミ」が42票を獲得してトップ3となった。「公務員」が38票で4位に入った。ただし、得票率はトップの総合商社ですら8%に過ぎず、希望業種は分散している。文系回答数562人のうち「特になし」としたのは31人。
[図表4]志望する業種(文系)
理系の一番人気は「食品」
文系と比べると理系の志望業種は特定の業種に票が集中している。トップとなったのは「食品」で45票、得票率では16%に及ぶ。6人に1人が「食品」を希望していることになる。次いで「医療、福祉、その他」が33票、「情報処理、システム開発」が28票で続く。理系でも「公務員」が11票で8位にラインクイン。「電機」は22票で5位に入るも、「輸送機器」は6票で11位にとどまる。
[図表5]志望する業種(理系)
文系、理系ともに敬遠業種は断トツで「外食」
逆に敬遠されている業種はどこか。文系、理系ともにトップは「外食」で2位以下を大きく引き離している。文系は144票で得票率は26%、理系でも67票で得票率は24%に及ぶ。給与水準の低さ、勤務時間の長さ、「名ばかり管理職」など待遇の悪さが響いている。
その他敬遠される業種は、文系では「医療、福祉、その他」が42票、「公務員」28票、「外資系金融」24票で続く。「医療、福祉、その他」は「介護」業界をイメージしているものと推測される。こちらも待遇の悪さが不人気の理由であろう。志望業種の2位になっている「メガバンク」は、22票で敬遠業種でも「地方銀行、信用金庫」と並んで5位にランクインしている。
[図表6]敬遠する業種(文系)
理系では、「生命保険、損害保険」と「倉庫、運輸」が14票でともに敬遠業種の2位となっている。「生命保険、損害保険」は生命保険の営業職をイメージされているものと推測される。
[図表7]敬遠する業種(理系)
ブラック企業の特徴は「残業代が支払われない」
何かと話題になるブラック企業であるが、学生はブラック企業をどう定義しているのであろうか。特徴として考えられているトップは「残業代が支払われない」の83%。「パワーハラスメントが多い」「離職者が多い」がともに60%で続き、「勤務時間管理がされていない」の53%までが過半数の学生に選択されている。
学生時代のアルバイトは「時間給」で給与計算されることが大半であるが、社会人になると「裁量労働制」「みなし労働制」などを採択している企業も多く、すべての残業が賃金に紐づくわけではない。このあたりの理解はまだあまりないのであろう。
[図表8]ブラック企業の特徴
ブラック企業であるか気になる学生が9割
自分が志望している企業がブラック企業であるかどうかをどの程度気にしているのであろうか。「かなり気になる」が57%、「少し気になる」が33%で、合わせると90%もの学生が「気になる」としている。新卒者を採用している企業では、ブラック企業の割合はそれほどあるわけではなく、気にし過ぎであるとも言える。
[図表9]志望先企業が「ブラック企業」か気になるか
「逆求人型サイト」を知っている学生が3分の2
「リクナビ」や「マイナビ」などの一般的な就職ナビとは異なり、学生の登録情報に基づいて企業側からアプローチメールが届く「逆求人型就活サイト」が近年伸びている。学生における認知度は65%と、約3分の2に及ぶ。「逆求人型就活サイト」にすでに登録しているか、今後登録予定の学生は47%で、存在を知っている学生に絞れば73%にもなる。
「逆求人型就活サイト」としては、アイデム「JOBRASS」、i-plug「Offer Box」、イノベース「Iroots」などがある。
[図表10]逆求人型就活サイトへの登録意向
「逆求人型サイト」を知らない学生の4分の3が活用意向あり
「逆求人型サイト」を知らない学生に対してそれらのサービスを利用したいかを聞いたところ、76%の学生が「登録したい」と回答。通常の就職ナビだけではなく、新しい企業との出会いのルートを求めていると言える。
[図表11]「逆求人型就活サイト」を活用したいと思うか
【調査概要】
調査主体:みんなの就職活動日記(楽天株式会社)
調査企画:HR総研(HRプロ株式会社)
調査対象:2016年卒業予定の大学生・大学院生
調査方法:WEBアンケート
調査期間:2014年11月20日~11月26日
有効回答:839名(文系562名、理系277名)
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