いま、社会的に求められている女性活躍推進や長時間労働の是正を実現する上で欠かせないのは、男性の意識改革。育児に積極的に参加する男性、「イクメン」は若い世代を中心に増えてきたといわれますが、そのイクメンに理解があり、支援や協力を惜しまない上司を意味する言葉が「イクボス」です。
育児だけではなく、介護も含めて、職場でともに働く部下が仕事と生活を両立しやすい職場環境づくりを行い、組織の成果をきちんと出しながら、自らも仕事と私生活を楽しむことができる。イクボスが指すのはそのような上司ですが、とはいえ、イクボスにあてはまる上司はまだまだ少ないのが多くの職場の現状でしょう。
最近は、官民挙げて、このイクボスを増やしていこうとする動きが活発化。2016 年9月には、都知事をはじめすべての管理職が「イクボス宣言」を行うという東京都の取り組みが注目を集めたほか、同年11月には全国知事会も、各都道府県でイクボスを増やすとした「イクボス宣言」を全会一致で採択しました。
また、NPO法人ファザーリング・ジャパンによれば、イクボスの必要性を認識し、積極的に自社の管理職の意識改革を行って、新しい時代の理想の上司(イクボス)を育てていこうとする企業のネットワーク「イクボス企業同盟」には、みずほフィナンシャルグループ、全日本空輸、コクヨなど127社が加盟(2017年1月27日現在)。パナソニックでは、イクボスの養成を本格化させ、国内に約5千人いる課長職を対象とした社内研修をスタートしたほか、清水建設では、従業員の中からイクボスを公募し、優良な事例を「金ボス賞」として表彰する「イクボスアワード」を2015年度から実施するなど、具体的な企業の取り組みも進み始めています。
これからの企業には、社員の育児・介護と仕事の両立を支援する制度づくりにとどまらず、上司の意識を改革してイクボスを養成しつつ、そのイクボスが評価される企業文化の醸成にも取り組むことが求められそうです。