「キャリア・コンサルタント」とは、就職を希望する人に対して、助言やアドバイスなど、さまざまな相談支援を行う専門職です。キャリア・カウンセラー、キャリア・アドバイザーとも呼ばれ、主な業務は、就職希望者が自らの適性、能力、経験などに応じて職業生活を設計して効果的に職業選択や職業能力開発を行うことを目的とし、個別に相談、キャリア形成支援を行うことです。

キャリア・コンサルタントが日本で普及し始めたのは最近のことです。2002年に厚生労働省が計画決定した「キャリア・コンサルタント5万人計画」がきっかけで、民間資格としての「キャリア・コンサルタント」の資格講座や認定試験が開始されました。

「官民合同で5万人のキャリア・コンサルタントを養成する」という目標を達成するため、独立行政法人雇用・能力開発機構が養成講座と認定試験を最初に開始し、その後、人材派遣会社、コンサルティング会社、専門学校、カウンセラー養成講座を実施する各種団体など、複数の民間団体が、それぞれ厚生労働省の認可を受けて養成講座と認定試験を実施しています。

キャリア・コンサルタントは業務独占資格ではなく、資格がなくてもキャリア・コンサルティングを実施することは可能です。しかし、通常は、専門知識を習得し、トレーニングを積んでキャリア・コンサルタント資格を取得することが一般的です。それらの資格としては、民間資格の「キャリア・コンサルタント能力評価試験」、国家資格である「キャリア・コンサルティング技能検定」 などがあります。

キャリア・コンサルタントには、大きくわけて「標準レベルキャリア・コンサルタント」、「キャリア・コンサルティング技能士」、「登録キャリア・コンサルタント」の3つの種類があります「標準レベルキャリア・コンサルタント」とは、特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会により指定された機関の試験に合格した者をいいます。

「キャリア・コンサルティング技能士」とは、キャリア・コンサルティング技能検定において、学科試験と実技試験の両方に合格すると、試験等級に応じて合格証書が発行され、1級または2級キャリア・コンサルティング技能士の称号が付与されます。試験の等級は技能の内容に応じて、1級は「指導レベル」、2級は「熟練レベル」と位置づけられています。「登録キャリア・コンサルタント」とは、ジョブ・カード制度において、ジョブ・カード講習を受講した上で、厚生労働省または登録団体に登録されたキャリア・コンサルタントのことを言います。

近年、景気低迷の背景から、質の高いキャリア・コンサルタントが求められています。ハローワーク、ジョブカフェなどの公的職業紹介機関及び付属施設・機関、それに準ずる施設や公共職業能力開発施設、人材派遣・紹介、再就職支援などの人材ビジネス企業などのほかに、大学・高校や企業内でもキャリア・コンサルタントの需要が急激に多くなっています。