「女性管理職比率」とは、企業または、その分野での管理職の女性の割合のことです。安倍晋三政権が成長戦略の柱として打ち出した「女性の活用」で、女性管理職比率を高めることが目標として掲げており、注目が集まっています。

政府は、「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする」目標を掲げていますが、現在、2011年の日本の全就業者に占める女性の比率は42.2%と米国、英国などの各国も45%前後で、欧米とほとんど変わらないものの、企業の課長以上や管理的公務員を指す『管理的職業従事者』に女性が占める比率だと日本はわずか11.9%に落ち込んでいます。

なお、海外の女性管理職比率を見ると、アメリカ43%、フランス38%など欧米では30%超が普通です。アジアでもフィリピンは52%、シンガポール34%となっており、日本は大きく後れをとっています。最近では、厚生労働省の事務次官に村木厚子社会・援護局長が就任するという話題があがりましたが、事務方トップの次官に女性が就任するのは2人目で、村木さんの登用で弾みをつけたいと考えているようです。

昨今、女性の積極的活用が、企業経営に好影響をもたらすとして、ダイバーシティ推進の面からも注目されています。ダイバーシティは日本語で「多様性」の意味ですが、人種に限らず、性別、年齢、働き方の違いなどの多様性を積極的に受け入れることで、優秀な人材を確保し、会社の成長につなげるという考え方で、日本では「女性の活用」で使われることが多いようです。政府が、「指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする」という目標を掲げたことで、ダイバーシティ推進関係者たちは大いに期待をしています。

大手民間企業では、イオンが、「日本一、女性が活躍できる会社にする」と発表。現状では、7%の女性管理職比率を2016年までに30%、20年に50%へ大幅に引き上げる計画を打ち出しました。また、日産自動車は、女性管理職比率を2017年4月までに10%を目標、三菱東京UFJ銀行も「2015年3月までに課長級以上の女性管理職を300人にする」などの女性管理職登用策を打ち出しています。

しかし、これまでにも、政府や企業は、女性の活用に着眼し、見直しを進めていますが、遅々として進まないのが現状です。目標設定や制度設計にとどまらず、制度や組織を作り、企業や社員の意識改革をしていかなければ、日本は到底世界水準には到達しないのではないかという声も上がっています。

高齢化と人口の減少が進むなか、女性の労働力を活用しなければならない今の日本では、経済界でも、日本の女性の雇用率が男性並みになれば、日本のGDPが15%押し上げられると言われています。女性管理職比率を上げるだけではなく、質をあげ、女性活用の人材育成、女性の活用に向けた投資を加速できるかどうかが将来の競争力を左右するかもしれません。