「グローバル人材」とは、海外で活躍できる人材のことを言いますが、その定義は、さまざまに飛び交っています。
文部科学省によると、「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」と定義されています。
また、厚生労働省が2012年に企業経営者に調査をした結果、「未知の世界、時に非常に厳しい環境に、『面白そうだ』『やってみたい』という気持ちで、積極的に飛び込んでいく前向きな気持ち、姿勢・行動力を持っていること。そして、入社後に一皮、二皮剥けるため、『最後までやり抜く』『タフネスさ』があること。しっかりと自分の頭で考え、課題を解決しようとすること。」というのが今求められているグローバル人材ということになります。
つまり、未知の世界に飛び込める行動力、最後までやりぬくタフネスさ、自分で考え行動し、課題を解決しようとする力があり、日本人としてのアイデンティティをしっかり持っている人が、日本が求めるグローバル人材です。
もっとも、求められるグローバル人材は、国や人によって異なります。世界的に事業を広げる海外企業の多くは、自社のスタンダード(基準)を元に成果が出せる人とされ、海外に行っても、現地の従業員がそのスタンダードに合わせて、成果を出すことが求められています。
現在の日本の若者は、内向きで、海外に行きたがらない人が増えていると言われていますが、そんな中でも、自力で自分の道を切り開いていこうとする若き日本人がいます。彼らは、主にASEAN地域で現地語、英語、日本語を操り、単身で現地に乗り込み、自分自身で仕事を得て、現地スーパーの店長や工場長などで活躍をしている人もいます。
彼らは、偏差値の高いエリート校の出身でもなく、MBAホルダーでもありませんが、それぞれ職場で現地の部下と一緒に目標をたて、部下を指導し、顧客の声を聞きながら成果を出すという、まったなしのOJTで鍛えられ、日本のエリート社会では得られないダイナミックな経営力が身についています。自ら道を切り開き、現地の従業員を巧みに管理して結果を出し、世界で戦えるたくましい人材は、現地企業だけでなく、現地に進出している日本企業からも注目を集めています。
日本が求めるグローバル人材は、彼らのような自ら道を切り開く、骨太の人材ということになります。グローバル人材を育てるレールを作るよりも、内向き志向ではなく、やりたいと思ったことを自らレールを作っていく若者を育てていくことが重要かもしれません。