「要員計画」とは、企業が事業計画を進めるにあたり、必要な人材の確保や不要な人材の整理などを計画することをいいます。人員計画とも呼ばれています。

経営環境が安定的で終身雇用が主流だった高度成長期は採用を中心とした中長期要員計画を立てることが一般的でしたが、近年、著しい経営環境の変化で、中長期の要員計画策定が困難になっており、また終身雇用が崩壊したことから人員整理の面も着目されています。

計画においては必要な人員数(量的な部分)のみならず、どのような人材が必要か(質的な部分)ということも考慮され、長中短期の経営計画と連動して策定されるべきものです。

量的な部分で見てみると、算出方法は2種類あり、「ボトムアップ方式」と「トップダウン方式」の2種類があります。「ボトムアップ方式」は、それぞれの部門、職種、階層別に必要人員を報告する方式で、「トップダウン方式」は、「労働分配率」「損益分岐点」などから必要な人員総数を決め、それを各部門、職種、階層に割り振っていく方式です。ミクロ的アプローチ、マクロ的アプローチとも言われています。

ボトムアップ方式だけで算出していくと、人員が多くなりすぎ、人件費負担を抑制することが難しい場合が多く、財政面から、トップダウン方式だけで要員計画を立てようとすると、現場から「業務遂行に支障をきたす」などの不満が生じかねません。ボトムアップ方式をベースに、トップダウン方式的にも問題がないかチェックする方式が効果的といえます。

また、経営状況が厳しい時には逆に、トップダウン方式で、人員枠や重要部署など、大枠を決定し、その枠内で、ボトムアップ方式によって集計し、計画をたてることになります。

一方、質的な部分においては経営計画や業務分析、従業員へのヒアリングなどの結果からあるべき人物像を定め、現在の従業員の状態とのギャップから算出する方法があります。

要員計画を策定すること自体は新しいことではないものの、効果的に策定している企業が少ない事が事実です。その方法としては、量・質に加えて、配置を加え、3つの観点で要員計画を策定する事、策定するに当たって考慮すべき事は、「需要側から解いていく」ということです。需要側では、マネジメント層と人事担当者を集め、将来の人材ニーズを定性的に検討することから始めます。人材予測と将来ニーズの定義が、要員計画策定上の最初のステップとなります。

次に、供給側の視点から考えます。現在の人材調達・活用を続けた場合、将来の人材構成がどうなるのかを定量的に明らかにし、さらに調達対象となる社外の人材群が将来行き詰るか、より充実化するかをみることで、人材採用と人材育成のバランスをどうとっていくべきか判断できます。さらに、人材ギャップも明らかになり、重大な人材ギャップを埋めるために最も有効な方針や施策を、既存・新規の両面で判断できます。人材投資に関する意思決定を円滑に進める事ができます。無駄な取り組みによるコストの増大を防ぐ役割も担っています。