「有効求人倍率」とは、公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者=有効求人登録者数に対し、企業からの求人数=有効求人数の割合を示す経済指標のことで、この数値が1より大きいか小さいかで、労働市場の需要超過、供給超過の状態を知ることができます。

景気の回復に伴って企業業績が回復すれば、企業の社員採用人数も増加していきます。したがって、失業率と並んで、雇用状況を示す数値であるとともに、就職のしやすさや人材採用のしやすさを判断するための景気回復の1つの指標として出される事があります。

計算式は、有効求人数÷有効求人登録者数で、求職者の総数と求人数が同じとき、有効求人倍率は1となる。この値が1より大きければ、求職者よりも求人数が多いことを意味し、就職口を求めている人にとっては相手を選ぶことができるため有利となっている。反対に、有効求人倍率が1を下回れば、就職口を見つけることが難しいとされています。

厚生労働省が毎月公表をしていて、新卒者は含まず、パートタイムは含む。数値で見ると、バブル経済の崩壊を境に、有効求人倍率も1を下回っていて、アジア通貨危機や、アメリカの9.11などを経て、1まで回復してきたものの、リーマンショックにより再び1を下回るという、雇用情勢の悪化が裏付けられます。
職業別に見ても、2008年と2009年を比較してみると、全体的に有効求人倍率は下回っているものの、営業、サービス・接客、看護師、社会福祉士などはいまだに1を上回っています。逆に、販売職、機械・電気技術者、ITエンジニアは、2008年は1を上回っていたものの、2009年には、下回っているという変化が見られます。

これにより、企業としては、「優秀な人材確保のチャンス」とされ、営業や販売職に置いては、未経験者を募集せず、即戦力確保に採用の基準をおいたり、技術者やエンジニアにおいては、特定の職種をピンポイントで募集し、高い技術力をもった人材を確保するチャンスであるといわれていて、採用側にはより有利に、効果的に人材募集ができます。

また、都道府県別に2012年10月の順位を見てみると、TOP3が、福井、東京、宮城となっていて、ワースト3は、沖縄、埼玉、神奈川となっています。福井は年間を通して1を上回るという安定した雇用状況で、宮城、福島といった被災地は復興などにより求人数が増加しているといえるでしょう。東京では、年の後半は、1をかろうじて上回っている状況で、2013年には雇用情勢に変化がでるのではないかとみられます。

この有効求人倍率は、ハローワークに登録している人や企業だけを対象としていて、新聞、就職雑誌、インターネットなどで仕事を見つける人を対象としていないため、最近の求人、求職活動を完全には反映していない点に留意する必要があります。また、昨今、有効求人倍率の上昇が続いても、完全失業率が低下しないことがありますが、求職者が求人条件に合わない、いわゆる「雇用のミスマッチ」によるものと考えられます。