「リチーミング(Reteaming)」とは、1990年代前半にフィンランドの精神科医、ベン・ファーマン氏と社会心理学者のタパニ・アホラ氏によって開発された、問題解決・チーム再構築のためのプログラムです。
当初は問題を抱えた子供たちを対象にした「キッズ・スキル」として開発・導入されたものですが、大人にも応用できることがわかり、現在はヨーロッパを中心とする世界各国で、企業組織の再活性化に利用されています。フィンランドには1990年代前半の大不況から急速に立ち直り、2000年代前半には強い国際競争力を持つ国へと躍進した歴史がありますが、通信機器メーカーのノキアなどが活用し、フィンランドの低迷期を救ったといわれるのがリチーミングです。これまでにリチーミングを導入している企業や団体には、ほかにも、フィンランド政府機関、フィンランド航空、ボルボ、ダイムラーベンツ、マイクロソフト、シーメンスなどがあります。
リチーミングの特色は、問題の追及ではなく、解決志向をベースとして、「理想」と「実現可能な第一歩」にフォーカスすること。チームに問題があるとき、その原因を明らかにしようとすれば、メンバーは「自分が責められるのではないか」と不安になり、チームの雰囲気が悪くなりがちです。そうではなく、どうすれば解決できるのかを突き止めようとすれば、メンバーは前向きに取り組みやすくなります。自分では気づいていなくても、人は問題を解決する実行可能な方法をすでに持っているという考え方に基づいているのです。
また、リチーミングでは、チームで理想を描き、それを自分のことに落とし込むことで、気づきを促します。コミュニケーションがよく取れておらず、チームの一体感が乏しい、社員のモチベーションが低下しているといった組織を、心と行動に働きかける12のステップを通じて、短期間で協力し合える組織へと変えていこうとするものです。
日本では、国内唯一のリチーミングコーチ認定機関であるEAP総研や、NPO法人フィンランド式人材育成研究所が、リチーミングの考え方に基づく研修プログラムを提供しています。