「歩行ラリー」とは、グループ対抗戦として行う野外競技を通して、チームビルディングや組織活性化、仕事における課題解決力向上などを図る体験学習の一種。

ウォーク・ラリーとも呼ばれるもので、1970年代ごろから日本の多くの企業で、新入社員研修、管理者研修、職場内研修などのプログラムとして実施されてきた歴史があります。

歩行ラリーでは、自然の中や市街地に数kmのコースが設定され、参加者はチームを組んでスタート地点から出発、「コマ地図」と呼ばれる特殊な地図を頼りに、設定されたチェックポイントを探し出しながらゴールを目指します。どの分岐点でどの方向に進めばよいのかは、コマ地図の情報を的確に捉え、現場の状況と照らし合わせて正しく判断しなければなりません。ミスをして道に迷ってしまった場合は、どこで間違えたのか、どこまで戻ればよいのかなど、時間の制約がある中でメンバー同士が意見をぶつけ合い、役割分担をしながら、ルートの再選択を検討、実行するといったことも必要になります。

野外競技として知られるオリエンテーリングに似ており、混同されることもありますが、両者は大きく異なります。オリエンテーリングがいかに早くゴールに到着するかを競うスポーツであるのに対し、歩行ラリーは定められた区間を定められた時間で歩き、その正確さを競うもので、減点方式で得点が決まります。高得点を出すためには、体力よりも、情報を的確に捉える判断力や、思い込みをせず、事実に基づいて判断し、行動できる力、チームワークがなければなりません。このように、歩行ラリーで求められることは、ビジネスパーソンが仕事において求められることと似ています。

また、歩行ラリーは原則として同じコースで2回実施されます。1回目のラリー終了後、各チームの得点と順位が決まると、参加者は自分たちがどこで、なぜ失敗したのかなど、チームの行動を振り返り、それを踏まえて2回目のラリーに挑みます。チームによるマネジメントサイクルをどのように回し、組織を活性化させていけばよいのかを体験から学べることも、歩行ラリーの大きな特色です。