「給与振り込みが間に合いそうにないが、どうしたらいいか?」、「5月1日に出勤させた場合、割増賃金は必要か?」といった質問を、最近よくいただく。今年のゴールデンウィークは10連休の会社も多いと思われれるが、この珍しい事態に戸惑っている会社もあるようだ。この機会に、休日について労務管理上注意すべきポイントをいくつか解説したい。
「休日」について

基本的な部分から少々込み入った内容まで、4つのケースを取り上げて説明しよう。

〈ケース1〉
「そもそも国民の祝日は休日にしなければならないか?」
→就業規則の定めによる。法律上、必ず国民の祝日を休日としなければならないわけではない。

〈ケース2〉
「1年単位の変形労働時間制にかかる協定で出勤日と定めた後、祝日となった場合(4/30、5/1、5/2)はどうなるか?」
→(今回のように改元に伴い祝日となった場合、)原則として協定を優先し、当該祝日を休日に変更する必要はない。

〈ケース3〉
「新たに休日になった日に勤務させる場合、割増賃金は必要か?」
→賃金規程の定めによる。規定上、「祝日に勤務した場合は割増賃金を支払う」と定めている場合、割増賃金が必要になる。休日が増えた場合は、月給者にとっては実質的利益(労働時間が減少しても賃金は変わらない)となり、加えて割増賃金を支払うことは、企業にとっては負担感も拭えない。今回のような臨時の祝日については、労使で対応を検討してもよいかも知れない。

〈ケース4〉
「祝日増加により勤務時間が減った分を連休明けに残業させた場合、割増賃金を支払わなくていいか?」
→原則として、連休明けの残業に対しては、割増賃金を支払わなければならない。ただし、事前に「1ヵ月単位の変形労働時間制」の労使協定を結ぶことで、連休明けの勤務時間を長くすることも可能である。

おわりに

今回の祝日に関して言えば、例外中の例外の出来事と捉えるべきだ。したがって、休日や賃金については各企業で個別に検討していく部分もあるだろう。しかしながら、個別に検討していく上で、労使の信頼関係は必要不可欠だ。そのためには、日常の労務管理について、きちんと整備・説明をしなければならないだろう。この機会に一考されてはどうだろうか。
社会保険労務士法人ステディ
代表社員 瀧本 旭

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